フィンガーティップス

フィンガーティップス (Fingertips)

「フィンガーティップス」は、アメリカのシンガーソングライターであるスティーヴィー・ワンダーによって1963年に発表された楽曲です。この曲は彼のアルバム『12歳の天才』に収められた4枚目のシングルであり、ワンダーが13歳に達する直前にリリースされました。

曲はクラレンス・ポールとヘンリー・コスビーによって書かれ、もともとは演奏曲として構想されていました。これによって、彼のデビューアルバムに収録された後、シングルとして登場することになりますが、興味深いことにシングル盤としてリリースされたのは、初のライブ盤でした。この録音はモータウンの歴史の中でも特異なケースであり、ライブアルバムが全米チャートで1位を獲得したのは、この曲が唯一の例です。

「フィンガーティップス」の新しいバージョンでは、曲がキーのGからCに上がり、ワンダーが自身の演奏によるアドリブボーカルを行うためのパートが追加されました。この曲は、1961年末にアポロ劇場での公演に組み込まれ、その後1962年を通じて改良が進められました。最も評価されたバージョンはシカゴのリーガル・シアターで録音されたものでした。

曲のオープニングは、モータウンのMCビル・マーレイの熱狂的な紹介から始まりました。観客の反応は少なかったものの、スティーヴィーが「イェイ……イェイ」と呼びかける中、手拍子やコンガのリズムが加わり、彼のエネルギーが会場を包み込みます。彼の際立ったアドリブに続いて、ドラムスが加わり、スティーヴィーのハーモニカが入り混じったリズミカルな演奏が繰り広げられました。

曲調がピークに達すると、スティーヴィーは観客に「Say Yeah!」と叫び、観客も同様に返します。そして、次のコーラスの後に歌い出し、ハーモニカのソロと手拍子が続き、全バンドがフィナーレへと移行します。特筆すべきは、手拍子だけで続けられる歌の中で「メリーさんの羊」にも触れられるなど、瞬時に観客との一体感が生まれました。与えられたステージでのパフォーマンスでは、スティーヴィーの若さあふれるエネルギーが、ロックンロールの真髄を感じさせます。

また、WJBKの特別番組でスティーヴィーは自身の音楽に対する思いを語りました。次の出演者がステージに上がる際、彼が戻ってきた際の様子はまさに青春の混乱とエネルギーが溢れ出ている瞬間でした。この作品は約7分という長さであったため、モータウンはシングル盤の両面に曲を分けることを決定しました。B面の「Part1」はメイン部分を、A面の「Part2」ではアンコールの部分を提供しており、その中でバックバンドの会話や進行スタッフの音が記録され、収集がつかない状態でもヒットとなりました。

「フィンガーティップスPart2」は迅速に知名度が上がり、スティーヴィーはモータウンのスターとしての地位を確立します。若くして音楽の道を歩み始めた彼は、義務教育を終えないままツアー生活を続け、学業との両立が求められる大きな課題に直面します。最終的に彼はミシガン州ランシングにある盲学校に入学し、特別な学習プログラムのもとで、ツアー中も家庭教師が同行することになりました。しかし距離的な制約からいつも家にいることができず、モータウンという世界が彼の成長に大きな影響を与えることとなりました。このようにして、スティーヴィー・ワンダーは「モータウンの子供」として育ち、彼の音楽的アイデンティティが形成されていったのです。

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