12歳の天才

アルバム『12歳の天才』

スティーヴィー・ワンダーの『12歳の天才』は、1962年にリリースされた彼の初のライブ・アルバムです。この作品は、若き天才による抜群のパフォーマンスが収められており、彼の名声を一気に確立しました。特にオープニング曲の「フィンガーティップス」Pt1およびPt2が全米ヒットチャートで1位を獲得し、スティーヴィー・ワンダーのキャリアを大きく推進したのです。

当時、スティーヴィーはモータウンと契約していたため、スタジオ録音では彼の才能を完全に発揮できない状況でした。契約条項により、彼はクラブでの演奏を禁じられており、ライブ公演の機会はモータウンが主催するパッケージコンサートに限られていました。しかし、これらのパフォーマンスにおいて彼は圧倒的な存在感を放ち、観客を熱狂させました。

また、スティーヴィーの即興的な演奏には彼の豊かな感情が込められており、時にはセッション・ミュージシャンたちが彼の演奏に合わせて自由に演奏を加えるほどでした。これが一部のショーでは混乱を招き、プロデューサーであるクラレンス・ポールが彼をステージから引きずり降ろす場面も見られました。

スティーヴィーのライブパフォーマンスは、モータウンの社長ベリー・ゴーディに目を留めさせ、彼の音楽をレコードとして残そうという決断を促しました。そこで、スティーヴィーがこれまでに演奏した「ジャズ・ソウル〜スティーヴィー・ワンダー・ファースト・アルバム」や「レイ・チャールズに捧ぐ」といった作品からの楽曲を厳選し、シカゴのリーガル・シアターでライブ録音を行いました。こうして『12歳の天才』が完成したのです。

本アルバム収録の楽曲は、いずれもスタジオ版よりも高いエネルギーを持っており、その中でも「フィンガーティップス」の新しいバージョンは特に際立っています。彼の若さと、それに伴うエネルギーがゴスペルの風味を持ちながらもロックンロールの要素を取り入れている点が印象的です。シングル「フィンガーティップス」は1963年5月21日にリリースされ、同年の10日後にはライブアルバムが発売されました。このアルバムはスティーヴィー・ワンダーにとって初めてのアルバムリリースであり、彼の音楽キャリアにとって重要なマイルストーンとなりました。

さらに、このヒットが続く中で、スティーヴィーはモータウンレコードの代表的なアーティストとしての地位を築いていきました。しかし、彼はまだ義務教育を受けている子供であり、義父や教育委員会からの妨害、さらにはクラスメートからのいじめにも直面していました。このような問題が解決するきっかけとなったのは、彼の母親が広告を出し、盲学校への通学やツアー中の家庭教師プログラムが組まれたことでした。

収録曲

• - Side 1

- フィンガーティップス - Fingertips
- ソウル・ボンゴ - Soul Bongo
- ラ・ラ・ラ - La La La La La

• - Side 2

- マスカレイド・イズ・オーヴァー - (I'm Afraid) The Masquerade Is Over
- ハレルヤ・アイ・ラヴ・ハー・ソー - Hallelujah I Love Her So
- ドローウン・イン・マイ・オウン・ティアーズ - Drown In My Own Tears
- ドント・ユー・ノウ - Don't You Know

このアルバムは、スティーヴィー・ワンダーの無限の才能とエネルギーが詰まった貴重な作品であり、今なお多くの音楽ファンに愛されています。

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