フィンランド内戦

フィンランド内戦：赤と白の激突

フィンランド内戦は、1918年にフィンランドで発生した、右派勢力の白衛軍と左派勢力の赤衛軍による内戦です。独立直後のフィンランドを舞台に、両勢力が激しく衝突しました。

内戦の背景

第一次世界大戦の影響下、1917年のロシア革命はフィンランドに独立の機会をもたらしました。同年12月6日、フィンランド議会は独立を宣言。ソビエト政府も民族自決の原則に基づき、これを承認しました。しかし、独立後のフィンランドは、食糧不足、高い失業率、不況といった問題を抱え、社会情勢は不安定でした。

対立する勢力

社会の混乱の中、自作農や資産家は財産を守るために白衛軍を組織し、小作農や労働者は革命を目指して赤衛軍を結成しました。1917年10月、左派勢力が議会で過半数を失うと、政府は赤衛軍の国外追放を決議。同年11月にはゼネラル・ストライキが発生し、両派の対立は決定的となりました。白衛軍はドイツ帝国やスウェーデン義勇軍の支援を受け、赤衛軍はソビエト・ロシアの支援を受けました。

戦争の展開

1918年1月12日、議会は警察組織の強化を決議。1月15日には、元ロシア帝国軍将校のカール・グスタフ・マンネルヘイムが白衛軍の司令官に任命されました。一方、赤衛軍の司令官にはアリ・アールトネンが就任しました。1月19日、カレリア地方で最初の戦闘が勃発。1月26日、赤衛軍は革命を宣言しました。内戦の公式な開始日については諸説ありますが、ヘルシンキで赤衛軍が革命を知らせるために赤いランタンを灯した1月27日深夜、または1月28日とされています。フィンランド議会はヘルシンキを脱出し、ヴァーサを臨時首都としました。

両勢力の目論見

赤衛軍は民主的な社会主義国家の樹立を目指していましたが、社会主義者の多くはフィンランドの独立を望み、ソビエト・ロシアへの編入を拒否していました。白衛軍のマンネルヘイムは、ドイツからの武器援助を必要としつつも、ドイツ軍の直接介入には反対していました。

赤衛軍の進撃と失速

赤衛軍は1月28日早朝にヘルシンキを制圧し、3月14日までにフィンランド南部を制圧して優位に立ちました。しかし、赤衛軍は練度が低く、将校の能力不足や兵士の規律の乱れが目立ちました。そのため、緒戦の勢いを維持できず、戦果は限定的でした。開戦時、フィンランドには約8万人のロシア軍部隊が駐留していましたが、レーニンによる赤衛軍への援軍派遣は実現しませんでした。

白衛軍の反撃と勝利

白衛軍は2月14日にドイツに救援を要請し、ドイツ軍は1個師団を派遣。ドイツ海軍も沿岸都市を砲撃しました。3月15日、白衛軍は反撃を開始し、主導権を奪いました。白衛軍も兵士の練度は低いものの、マンネルヘイムをはじめとする指揮官たちは第一次世界大戦で訓練を積んでいました。4月6日には、南西部の工業都市タンペレを攻略。このタンペレの戦いは、内戦最大の激戦となり、白衛軍に多数の死傷者が出ました。

4月13日、白衛軍はヘルシンキを奪還。赤衛軍はヴィープリへ撤退し、4月29日にはカレリアの主要都市も陥落しました。5月5日、赤衛軍最後の拠点も陥落し、残存兵はロシアへ逃亡。5月16日、白衛軍はヘルシンキで勝利を祝いました。

その後

内戦後、フィンランドは独立を維持しましたが、社会には深い傷跡が残りました。内戦の経験は、その後のフィンランドの政治、社会に大きな影響を与えました。

関連項目

フィンランドの歴史
冬戦争
継続戦争
フィンランド大公国
* フィンランド王国

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