臨時首都

臨時首都とは

臨時首都とは、国家において一時的に本来とは別の都市が首都と定められることを指します。これは、戦乱や災害など、さまざまな理由により、憲法などで定められた「首都であるべき都市」に首都機能を置くことができない場合や、正式な首都が未定である場合に定められます。また、首都機能が一時的に移転された場合も、このように表現されます。

近代以降の臨時首都の例

東アジア

広島市（日本、1894年）：日清戦争中に大本営が設置され、明治天皇が滞在し、帝国議会も開催されたため、臨時首都としての様相を呈しました。
重慶市（中華民国、1937年 - 1946年）：日中戦争中に首都南京が陥落したため、国民[[政府]]が重慶に遷都しました。
平壌市（北朝鮮、1948年 - 1972年）：建国当初は憲法で首都をソウルと定めていましたが、1972年に平壌が正式な首都となりました。
台北市（中華民国、1949年 - 現在）：国共内戦により南京を失陥した後、政府が台北に移転しました。公式な首都は南京とされていますが、事実上、台北が首都としての機能を果たしています。外交部も台北を首都としています。
釜山市（韓国、1950年 - 1953年）：朝鮮戦争中にソウルが陥落したため、一時的に釜山が臨時首都となりました。

東南アジア

ジョグジャカルタ市（インドネシア、1946年 - 1949年）：インドネシア独立戦争中に、政府がジャカルタから移転しました。

南アジア

ラーワルピンディー（パキスタン、1959年 - 1970年）：新首都イスラマバード建設中に、臨時首都として機能しました。

西アジア

テルアビブ（イスラエル、1948年 - 1949年）：独立宣言後、首都機能が置かれましたが、エルサレムを首都と宣言したため、臨時首都とも表現されます。ただし、国際的にはエルサレムを首都と認めていない国も多く、大使館はテルアビブに置かれる傾向があります。
ラマッラー（パレスチナ国、1988年 - 現在）：パレスチナ自治[[政府]]は、将来の独立国家の首都をエルサレムと主張していますが、現状ではラマッラーが事実上の首都となっています。
アデン（イエメン、2015年 - 現在）：イエメン内戦により、暫定政府が首都サナアからアデンに移転しました。

アフリカ

ティファリティ（サハラ・アラブ民主共和国、2008年 - 現在）：西サハラの独立を主張するサハラ・アラブ民主共和国が、実効支配地域に定めた臨時首都です。

ヨーロッパ

カウナス（リトアニア、1920年 - 1940年）：ヴィリニュスがポーランドに占領されたため、カウナスが臨時首都となりました。
サロ（イタリア社会共和国、1943年 - 1945年）：第二次世界大戦中に、ムッソリーニを首班とするイタリア社会共和国の拠点となりました。公式な首都はローマとされていました。
ボン（西ドイツ、1949年 - 1990年）：東西ドイツ分断時代、ベルリンが正式な首都と定められていましたが、ボンが暫定的な首都として機能しました。ドイツ再統一後、首都はベルリンに戻りました。

アメリカ

モンゴメリー（アメリカ連合国、1861年）：アメリカ連合国が最初に首都とした都市です。その後、リッチモンドに遷都されました。
ブレイズ（モントセラト、1998年 - 現在）：火山活動により首都プリマスが放棄されたため、政府機能がブレイズに移転しました。

オセアニア

メルボルン（オーストラリア連邦、1901年 - 1927年）：連邦成立後、キャンベラが建設されるまでの間、メルボルンが政府の所在地となりました。

関連項目

行宮：天皇や皇帝が一時的に滞在する宮殿。
臨安府（杭州市）：南宋時代に、首都機能を果たした都市。
首都
遷都
臨時政府
亡命[[政府]]
首都機能移転

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