フェアリー ファイアフライ

ファイアフライ（Fairey Firefly）について

ファイアフライは、イギリスのフェアリー社によって開発された複座艦上戦闘機で、主にイギリス海軍の艦隊航空隊で運用されました。その名はホタルを意味しており、試作機は1941年に初飛行し、1944年には実戦に参加しました。この機体は、当初のフルマー戦闘機よりもさらに多用途な性能を持ち、様々な任務に就くことが可能でした。

開発の背景

イギリス海軍は新しい複座戦闘機の開発を求め、当時の仕様書N.5/40を発行しました。海上での安全な行動を重視し、操縦士だけでなく航法士も必要という考えから、複座の設計が重視されることになりました。しかし、他国の単座戦闘機が成功を収めている中で、複座機は重量的に不利であるとの認識も高まっていました。

この背景の中、フェアリー社の設計チームはファイアフライの製作に着手し、エンジンにはロールスロイスのグリフォンIIBを採用しましたが、この機体は当時の空中戦においてかなりの重量を持っていました。空虚重量は約4,254kgで、全備重量に至っては6,359kgにもなり、スピットファイアの2倍近い重さを持ち合わせていました。しかし、そのデザインは空力的にも洗練されており、最高速度はフルマーよりも60km/hも向上しました。

実戦と任務

1944年、ファイアフライは初めて戦場に送り込まれ、主にドイツ占領下のノルウェー艦隊の護衛や武装偵察任務を行いました。ドイツとの戦闘がひと段落した後、ファイアフライは太平洋戦後にも進出し、日本占領地での攻撃任務に従事しました。1945年には東京上空への進出を果たし、これはイギリス軍用機として初の日本本土の飛行とされています。

戦後の展開

戦後、ファイアフライはイギリス海軍だけでなく、カナダやオーストラリアでも使用されました。カナダ海軍は65機のAS.Mk 5型を1946年から1956年まで運用し、オーストラリアでも様々な型が運用されました。イギリス海軍でもファイアフライは長期間に渡り使用され、朝鮮戦争にも参加しました。

さらに、ファイアフライは多くの派生型を抱え、その生産数は合計1,702機にも上ります。これにより、実戦機能だけでなく、練習機や標的曳航機としても広く利用されました。これに加えて、生産型には様々な改良が施され、戦闘偵察機や夜間戦闘機としても分類されていました。

現存するファイアフライ

現在でも複数のファイアフライ機体が存在し、その中には飛行可能なものも含まれています。歴史的意義も高く、多くの航空愛好家や博物館がその保存に努めています。これらの機体は、まだその活躍が記憶に留まっており、ファイアフライの存在は航空史において重要な役割を果たしているのです。

ファイアフライは、優れた飛行機としての評価だけでなく、歴史的な価値も持つ機体として、今後も多くの人々に記憶され続けることでしょう。

もう一度検索