フェビアン協会

フェビアン協会について

フェビアン協会（Fabian Society）は、1884年にロンドンで設立されたイギリスの社会主義団体であり、主に中産階級の知識人によって構成されています。信念は、社会の現状を改善するためには改革が必要だということであり、その影響力は現在も続いています。フェビアン協会は、後に労働党の確立に寄与した団体としても知られています。

名称の由来

「フェビアン」という名称は、古代ローマの軍人クィントゥス・ファビウス・マクシムスに由来しています。彼は持久戦を通じてカルタゴのハンニバルを打ち破ったことで、有名です。この名付けは、協会を設立した フランク・ポドモアによる提案に基づくものです。

設立の経緯と背景

フェビアン協会は、1883年にトーマス・デヴィッドソンが設立した新生活友愛会の支会としてスタートしました。この団体は、清潔で単純な生活を通じて社会改革を目指しましたが、メンバー間で個人の精神生活と社会改革に対するアプローチに意見が分かれました。その結果、政治的活動を強化する団体としてフェビアン協会が設立されました。設立直後から、ジョージ・バーナード・ショーやシドニー・ウェッブなど、数多くの知識人が参加し、彼らが後の活動の方向性を決めました。

社会主義思想と活動

フェビアン協会は、急進的な社会主義を否定し、漸進的な改革を志向しました。この思想は「フェビアン主義」と呼ばれ、特に社会諸制度の変革を通じて人類の進歩を促そうとするものでした。また、1887年に策定された理念規定書「基礎」では、土地と産業資本の共有化を目指すことが明記され、社会主義的な政策の指針が示されました。1890年代にはこの思想が広まり、多くの支持者を獲得しました。

政党との関わり

当初、フェビアンは国内問題に焦点を当てていましたが、1900年頃からは国際問題についても議論を始め、対外的な活動を展開しました。労働党の前身である労働代表委員会の結成にメンバーが参加するなど、政党政治への関与が深まります。しかし内部対立も生まれ、特に1903年にH・G・ウェルズが加入した際には混乱が生じました。

第一次世界大戦中、フェビアン協会のメンバーは労働者を保護するために、労働党と連携し活動を強化しました。1918年には、労働党が新たな社会主義の方向性を明確にし、フェビアン協会もその一員として位置付けられました。その後も、フェビアン協会は労働党のシンクタンクとして様々な社会主義的政策の研究を続け、次世代のリーダーたちに影響を与えていきました。

現代における影響

フェビアン協会は、20世紀においても労働党に大きな影響を与え続け、多くの首相や党首がそのメンバーとして活動しました。21世紀に入った今でも、フェビアン協会の理念はイギリスの政治シーンにおいて重要な役割を果たしています。

フェビアン協会は、時代に応じた社会のニーズを捉えながら、社会改革を進めるための知的サロンとして機能し続けているのです。

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