フェブラリィ -悪霊館-

『フェブラリィ -悪霊館-』（原題：The Blackcoat's Daughter）は、オズグッド・パーキンス監督による2015年製作のアメリカ・カナダ合作ホラー映画です。ルーシー・ボイントンとキーナン・シプカが主演を務め、2015年のトロント国際映画祭で『February』というタイトルで初上映されました。日本では『フェブラリィ 〜消えた少女の行方〜』のタイトルでDVDリリースされました。

物語は、厳格なカトリック系の女子校を舞台に展開します。2月のある日、冬休みを前に両親の迎えを待つローズとカットという2人の女子生徒の姿が描かれます。ローズは妊娠を悩み、恋人に打ち明けようとしており、カットは不穏な夢に悩まされています。両親の迎えが来ないことに苛立つカットを、ローズは優しく慰めます。

その夜、ローズは悪魔崇拝の事実をシスターたちに伝えるという名目で外出、恋人に会いに出かけます。カットは一人残され、かかってきた電話に出ます。電話の主はジョーンという女性で、彼女は精神病棟を脱走し、ニューヨークにたどり着いたばかりでした。バスを待つジョーンを、ビルという男が車で迎え入れ、彼の妻リンダは不機嫌な様子です。

一方、ローズは恋人と会い、学校に戻ると浴室に入ります。そこでボイラー室から不穏な音を聞き、窓から覗き込むと、燃え盛る炎の中にカットがひれ伏しているのを目撃します。

ジョーンはホテルで目を覚ますと、肩に銃創があることに気づきます。警官に撃たれた記憶が蘇り、ビルから「君はある女性に似ている」と告げられます。彼はジョーンをレストランに連れて行き、娘・ローズの写真を見せます。ジョーンは逃れ、浴室で女性を殺した記憶がよみがえります。ビルはジョーンを車で送りますが、リンダは「ビルは若い女性を見るとローズだと言うのです」と語り、ローズにジョーンの面影がないことを示唆します。

映画は、ローズ、カット、ジョーンという3人の女性の物語が複雑に絡み合い、徐々に明らかになる真実が観客を圧倒します。それぞれの女性の過去と現在が、超自然的現象を交えながら描かれ、不穏な雰囲気と衝撃的なラストが特徴です。

キャストは、ローズ役にルーシー・ボイントン、カット役にキーナン・シプカ、ジョーン役にエマ・ロバーツらが出演し、演技も高く評価されています。オズグッド・パーキンス監督にとって本作は監督デビュー作であり、喪失をテーマにホラーと憑依という手法を用いて、独特の世界観を作り上げています。パーキンス監督は、ホラーというジャンルを選んだことで観客の反応がより深いものになったと述べています。

製作過程では資金調達に苦労したものの、完成した脚本は高い評価を得、キーナン・シプカやエマ・ロバーツら豪華なキャスト陣を迎え入れました。音楽は監督の弟であるエルヴィス・パーキンスが担当し、映画音楽初挑戦ながら、作品にぴったりの雰囲気を作り出しています。

公開は、2015年のトロント国際映画祭を皮切りに、A24とDirecTV、ABMOフィルムズといった配給会社によって、アメリカ、カナダ、イギリスなど世界各国で公開されました。タイトルは、公開地域によって『February』や『The Blackcoat's Daughter』など異なっています。

批評家の評価も高く、Rotten Tomatoesでは72%の高支持率、Metacriticでも68/100の高評価を得ています。ゆっくりとしたテンポと不穏な雰囲気、そして斬新なストーリー展開が評価され、オズグッド・パーキンス監督の才能を証明する作品となりました。全体として、『フェブラリィ -悪霊館-』は、スリラーと超自然的な要素を巧みに融合させた、観る者を魅了するホラー映画として高い評価を得ています。

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