フェラーリ・250GT SWB

フェラーリ250GTベルリネッタ・パッソ・コルト：永遠の美と性能の結晶

フェラーリ250GTベルリネッタ・パッソ・コルトは、フェラーリの歴史において重要な位置を占める名車です。1959年から1962年にかけて製造されたこのモデルは、その洗練されたデザインと卓越した走行性能で、多くの自動車愛好家を魅了し続けています。愛称である「SWB（ショート・ホイールベース）」が示す通り、ホイールベースを従来モデルより短縮したことで、俊敏なハンドリングと軽快な走りを両立しています。

優美なデザインと卓越した性能

ピニンファリーナによる美しいボディデザインは、時代を超越した魅力を放ちます。滑らかな曲線とシャープなエッジが絶妙に調和し、フェラーリのスポーツカーとしてのアイデンティティを鮮やかに表現しています。ボディ素材は、コンペティションモデルが軽量なアルミ製である一方、市販モデルはスチール製と、用途によって使い分けられました。初期型と後期型では、ドアサッシの後端形状やフェンダーのエアアウトレットの有無など、細かなデザインの違いが見られます。全長4,200mm、全幅1,680mm、全高1,270mmというコンパクトなボディサイズも、その魅力の一つです。

パワフルな心臓部：V12エンジン

250GT SWBに搭載されたのは、水冷60度V型12気筒2,953ccエンジンです。初期型はティーポ128、中期以降はティーポ168と呼ばれるユニットが使用され、ウェーバー38DCLキャブレター3基と9.2:1の圧縮比により、240～250馬力を発生しました。シリンダーあたり2バルブのSOHC機構を採用し、スムーズかつ力強いパワーデリバリーを実現しています。コンペティションモデルには、さらに高性能なティーポ168B、ティーポ168comp/61、そしてフェラーリ250GTOにも搭載されたティーポ168comp/62エンジンが用意され、最高で280馬力以上の出力を誇りました。

走りのための技術

優れたエンジン性能を最大限に活かすため、250GT SWBには高度な走行技術が投入されました。4段+リバースのフルシンクロトランスミッションは、スムーズな変速を可能にしています。ダンロップ製キャリパーとソリッドディスクによるブレーキシステムは、高い制動力を発揮し、安全性を確保。市販モデルにはベンディックス製ブレーキサーボも装備されていました。185-15ラジアルタイヤまたは6.00-15レーシングタイヤを履いたボラーニ製ワイヤーホイールも、スポーティな外観に貢献しています。ZF製ウォームアンドセクターのステアリングギヤボックス、フロントのダブルウイッシュボーン独立サスペンション、リアの半楕円リーフスプリングリジットアクスル＋ラディアスアーム、そして筒型ダンパーによるサスペンションは、高い操縦性と快適性を両立させていました。

生産とレガシー

250GTベルリネッタSWBの生産台数は約160台と少なく、希少価値の高いモデルとなっています。その希少性と、時代を超越したデザイン、そして卓越した走行性能が相まって、コレクターズアイテムとして非常に高い人気を誇っています。今日でも、世界中のクラシックカーイベントでその雄姿を見ることができ、多くのファンを魅了し続けています。フェラーリの歴史、そしてスポーツカーの歴史において、250GTベルリネッタSWBは、永遠に語り継がれる名車と言えるでしょう。

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