フェラーリ・375MM

フェラーリ 375MM：ミッレミリアの雄姿

フェラーリ375MMは、1953年から1955年にかけてフェラーリ社が製造した名車です。その名は、搭載するエンジンの排気量375ccと、ミッレミリア（Mille Miglia）への参戦を反映した「MM」から成ります。340MMをベースに開発され、合計26台が生産されました。その希少性と、ミッレミリアという伝説的なレースへの参戦という歴史的背景から、現在でも熱狂的なファンを魅了し続けています。

開発と製造

375MMの開発は、340MMをベースに行われました。最初に製造されたのはヴィニャーレス社製のスパイダーボディを持つプロトタイプです。その後、ピニンファリーナ社によるベルリネッタボディを持つ3台が製造され、これら4台も340MMからの改造車でした。多くの375MMは、ピニンファリーナによる優雅なスパイダーボディをまといました。その美しい流線型のボディは、まさに芸術品と呼ぶにふさわしく、現代においてもそのデザインは高い評価を受けています。

エンジン：異なるニーズに対応

375MMには2種類のエンジンが用意されていました。一つは、フェラーリ・ファクトリーチーム用に開発された「Tipo 102」と呼ばれるエンジンです。これは、F1マシンである375F1にも搭載された、信頼性の高い高性能エンジンであり、4493.73ccの排気量を誇ります。もう一つは、個人顧客向けに開発された「Tipo 108」と呼ばれるエンジンです。こちらはボア径を拡大し、ストロークを短縮することで、4522.68ccに排気量が変更されています。当初は375アメリカに搭載される予定でしたが、375MMにも搭載されました。どちらのエンジンも4.5Lという排気量に変更はありませんでした。エンジンの仕様変更によって、顧客の様々なニーズに対応することが可能でした。

シャーシとサスペンション：改良された走行性能

375MMのシャーシは「Tipo 102」と命名され、340MMをベースに改良されています。ホイールベースは340MMから延長され、2600mm(102.4インチ)となりました。これは、高速走行時の安定性を向上させるためです。また、サスペンションシステムも340MMを踏襲しつつ、前後それぞれにフーダイユ製油圧ショックアブソーバーを追加することで、より洗練された乗り心地と操縦性を確保しました。これらの改良は、ミッレミリアのような過酷なレースでも高いパフォーマンスを発揮するために不可欠な要素でした。

結論：伝説に残るレーシングカー

フェラーリ375MMは、その美しいデザイン、高性能なエンジン、そしてミッレミリアという伝説的なレースへの参戦を通して、フェラーリの歴史に燦然と輝く一台です。限られた台数しか製造されなかったこと、そしてその歴史的背景から、現在でも非常に高価で、コレクターから高い人気を誇っています。フェラーリの歴史を知る上で、絶対に外せない重要なモデルと言えるでしょう。

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