フェラーリ・F12ベルリネッタ

F12ベルリネッタ

F12ベルリネッタ (F12berlinetta) は、イタリアの自動車メーカーであるフェラーリが製造したFR形式の2人乗りGTカーです。このモデル名は、ベルリネッタ (berlinetta) と呼ばれるボディスタイルを示しており、特定のサブネームではありません。

概要

F12ベルリネッタは、599GTBフィオラノの後継車として2012年に発表され、同年3月6日にサロン・アンテルナショナル・ド・ロトでお目見えしました。日本への導入は同年7月5日で、12月からは実際のデリバリーが開始されました。

スタイリング

全長4,618mm、全幅1,942mm、全高1,273mmのボディサイズを持つF12ベルリネッタは、599に比べて全長が47mm、全幅が20mm、全高が63mm小さくなっています。これにより、エンジンの搭載位置およびシート位置が低くなり、スポーティな印象を強めています。フロントタイヤとドアの間にはエアロブリッジが設けられ、空気の流れを整える設計になっています。テールランプは全ての現行フェラーリが同様の2灯式デザインを採用しており、リアフォグランプにはLEDタイプが搭載され、F1のテールランプ風に中央に1灯のみ配置されています。また、トランクは独立したリッドではなく、後方ガラスハッチ全体が跳ね上がるスタイルとなっています。

メカニズム

フロント・ミッドシップに搭載されているエンジンは65度V12で、排気量は6,262cc、ボア×ストロークはφ94×75.2mmです。最大出力740PS（545kW）を8,500rpmで発揮し、最大トルクは690N·mを6,000rpmで発生させます。これはフェラーリが製造したロードカーの中で最も強力な出力を誇ります。トランスアクスルのDCTを装備しており、0-100km/hの加速は仅3.1秒、200km/h到達までに8.5秒を要します。最高速度は340km/hに達し、HELEシステムによりCO2排出量は350g/kmに抑えられています。ブレーキはカーボンセラミック製となり、高い制動性能を実現しています。

F12tdf

2015年12月には、F12ベルリネッタの高性能バージョンであるF12tdfが発表され、799台の限定生産となっています。「tdf」という名称は、伝統的なレース「ツール・ド・フランス・オトモビル」から名付けられ、名のあるモデルが59年ぶりに登場しました。このモデルの特長には「バーチャルショートホイールベース」と呼ばれる後輪操舵システムが搭載され、エンジンのパワーが向上されたことで加速性能も改善されています。100km/hに到達するまでの加速は2.9秒に短縮されています。

特殊モデル

F12ベルリネッタを基にしたワンオフモデルには、F12 TRSやSPアメリカ、SP275 RW コンペティツィオーネ、SP3JCなどがあります。F12 TRSはタルガトップスタイルの3台のワンオフモデルで、1957年製のテスタロッサにインスパイアされています。また、SP275 RW コンペティツィオーネは、F12ベルリネッタのシャーシを基にしており、V12エンジンの強化版を搭載し、275GTBをモチーフにして設計されています。

結論

F12ベルリネッタは、そのスタイリングとパフォーマンスによって、フェラーリの中でも特に特徴的なモデルとなっています。様々なバリエーションや限定モデルが存在し、ポルトフィーノと共に、GTカーの真髄を体現しています。フェラーリの追求するデザインと性能は、時代を超えて魅力を放ち、ドライバーに特別な体験を提供しています。

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