フェラーリ・FXX

フェラーリ・FXX

フェラーリ・FXX（Ferrari FXX）は、イタリアの名車メーカーであるフェラーリによって開発された専用サーキットカーです。この車両は、フェラーリのフラッグシップモデルであるエンツォフェラーリを基にしたもので、2005年に発表されました。FXXはレースや公道での走行ができないため、サーキット専用に設計されています。

1. 概要と技術的特色

FXXは、これまでマラネッロで製作された車両の中で最も革新的かつ高度なGTであり、1255kgの重量を持つカーボン製ボディにフル装備されています。FXXは空力特性において、エンツォフェラーリよりも40%向上したダウンフォースを誇ります。特筆すべきは、可動式スポイラーを装備し、サーキットに応じて調整できる点です。

運転席に設置されたカメラは、後方が見えない構造のFXXを安全に運転するためのものです。各ドライバーの体格に合わせたオーダーメイドのシートとペダルも完備されていて、助手席を設けることも可能です。

搭載されているエンジンは、6,262ccのV12エンジンで、最大800PSを発生させます。このパフォーマンスは、F1技術を基にしたトランスミッションシステムによって支えられ、約80ミリ秒でギアを切り替えます。さらに、ブリヂストン製の19インチスリックタイヤや、ブレンボ製の大径セラミックブレーキが装備されており、ブレーキの冷却システムも特注仕様となっています。

2. FXXプログラムと顧客ドライバーの役割

FXXは単なる車両ではなく、革新的な技術協力プログラムの一環として位置付けられています。このプログラムでは、高い運転技術を持ったアマチュアドライバーがFXXを運転し、テストドライバーとして新しいモデルの開発に協力するというものです。

FXXには高性能のテレメトリーシステムが搭載されており、39種類の運動特性データが常時ピットで監視されます。これらのデータはフェラーリの技術者により分析され、顧客と共に新型車開発に役立てられます。このようにして、FXXプログラムは初めて顧客をテストドライバーとして起用した試みであり、データ収集は新型車開発に欠かせない要素となっています。

このプログラムに参加するための基本パッケージとして、FXX本体とメンテナンスが含まれ、その総額は約150万ユーロにも上ります。FXXは期間限定で29台のみ製造され、ごく特別なオーナーに販売されました。その中の一台には、特別にミハエル・シューマッハに贈呈された「30番」のFXXも存在します。

3. FXXのメンテナンスとフォローアップ

FXXを利用するオーナーには、サーキットでの走行の際に特別チームが派遣され、メカニックによるメンテナンスが行われます。ヨーロッパ地域およびフェラーリの現地法人がある国々では、顧客レース部門「コルセ・クリエンティ」がトンネルメンテナンスやセッティングをサポートします。また、FXXがフェラーリ本社に預けられた場合、「フェラーリ・レーシング・デイズ」での走行も可能となります。

4. エヴォルツィオーネモデル

FXXにはさらに進化したモデル、エヴォルツィオーネが存在します。これによりトラクションコントロールや炭素ブレーキが導入され、出力が860bhpにまで引き上げられています。また、FXXプログラムの利用期間も延長され、より多くのファンがこの特別なマシンを体験できる機会が提供されます。

このように、フェラーリ・FXXはただのスポーツカーに留まらず、技術とデザインの融合を表現した特別な存在です。

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