マラネッロ

イタリアの自動車産業の中心地：マラネッロ

イタリア共和国エミリア＝ロマーニャ州モデナ県に位置するマラネッロは、人口約1万7000人の小さな町です。しかし、この町は世界中から自動車ファンを引き寄せる、特別な場所として知られています。その理由は、世界的に有名な高級スポーツカーメーカー、フェラーリの本社がここに所在しているからです。

フェラーリとマラネッロ：切っても切れない関係

マラネッロとフェラーリの歴史は深く結びついています。フェラーリの創業者、エンツォ・フェラーリは、この地の静かで広々とした環境を気に入り、1947年に本社を設立しました。それ以来、マラネッロはフェラーリの心臓部として、数々の名車の開発・製造拠点として機能し続けてきました。フェラーリの代表車種の一つである「575Mマラネッロ」は、この町の名に由来しており、その密接な関係を表しています。F1でフェラーリが優勝する際には、マラネッロの教会の鐘が祝福を告げるという、地元民にとっての誇り高い伝統も存在します。

町の風景：フェラーリの息吹

マラネッロの街並みは、のどかな田園風景の中に、フェラーリの存在感を際立たせる独特の雰囲気を醸し出しています。街のいたるところには、エンツォ・フェラーリをはじめとする、フェラーリに貢献した数々の著名な人物の名前が付けられた通りがあります。また、フェラーリ本社敷地内への見学は基本的に制限されていますが、フェラーリを購入した顧客は、特別な手続きを経て、その聖地を見学することが可能です。

本社工場に加えて、F1マシン開発を行うスクーデリア・フェラーリや、ロードカーおよびレーシングカーのテストコースであるピスタ・ディ・フィオラーノもマラネッロに所在します。かつては最新鋭F1マシンのテスト走行が見られたこのコースでは、現在は中古F1マシンの走行会などが開催されています。それでも、熱心なフェラーリファン（ティフォージ）がフェンスに張り付く姿は、マラネッロならではの活気ある風景となっています。

観光スポット：フェラーリの世界を体感

マラネッロには、フェラーリファンにとって魅力的な観光スポットが点在しています。本社正門の向かい側には、公式グッズを扱う「フェラーリ・ストア」と、レストラン「リストランテ・カバリーノ」があります。後者にはエンツォ・フェラーリの特別室があり、かつてはVIPをもてなす場として使われていました。また、少し歩くと、フェラーリの歴代の名車やレーシングカーを展示する「ガレリア・フェラーリ（フェラーリ美術館）」があります。さらに、F1ドライバー御用達のレストラン「リストランテ・モンターナ」も知られています。これらを通して、マラネッロでフェラーリの世界を肌で感じることができます。

行政と地理：マラネッロの周辺環境

マラネッロは、モデナ県の県都モデナから南南西へ約14km、ボローニャから西へ約38km、ミラノから南東へ約169kmの距離に位置しています。周辺には、フォルミージネ、カステルヴェトロ・ディ・モーデナ、マラーノ・スル・パーナロ、セッラマッツォーニ、フィオラーノ・モデネーゼといったコムーネ（基礎自治体）があります。また、ランボルギーニの本社があるサンターガタ・ボロニェーゼとは、約26kmの距離にあります。マラネッロは、イタリアの気候分類ではzona E, 2378 GG、地震リスク階級ではzona 2に分類されています。

マラネッロは、日本の岐阜県坂祝町と姉妹都市提携を結んでおり、両町の交流は中日本自動車短期大学とイプシアフェラーリ校の姉妹校関係を通じて深まっています。

マラネッロは、単なる町ではなく、イタリア、そして世界の自動車産業における重要な拠点であり、フェラーリというブランドの象徴として、これからも世界中の自動車ファンを魅了し続けることでしょう。

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