フェルティンス・アレーナ

フェルティンス・アレーナ：多目的スタジアムの概要

フェルティンス・アレーナは、ドイツのノルトライン＝ヴェストファーレン州、ゲルゼンキルヒェンに位置する多目的スタジアムです。ブンデスリーガ2部に所属するシャルケ04がホームスタジアムとして利用しており、欧州サッカー連盟（UEFA）のスタジアムランクでは最上級の「カテゴリー4」に分類されています。その高い格式と設備から、2004年にはUEFAチャンピオンズリーグ決勝が開催され、2024年にもUEFA EURO 2024の開催会場の一つに選ばれました。

旧称はアレーナ・アウフシャルケであり、命名権の関係で現在の名称となっています。2006年のサッカーワールドカップでは、FIFA WMシュタディオン・ゲルゼンキルヒェンという名称で使用されました。

歴史

シャルケは1973年からゲルゼンキルヒェン市内のパルクシュタディオンを本拠地としていましたが、旧炭鉱の坑道陥没によるダメージで老朽化が進んでいました。そこで新たなスタジアム建設が決定し、1996年にパルクシュタディオンの南側に新スタジアムを建設する計画が公表されました。1998年11月21日に着工され、約3年後の2001年8月13日にドイツ初のドーム型スタジアムとして開場しました。落成式には1.FCニュルンベルクとボルシア・ドルトムントが招待され、シャルケとの親善試合が行われました。

2005年7月1日には、シャルケのメインスポンサーである地元のビール会社フェルティンスがスタジアムの命名権を取得し、現在の名称となりました。命名権の契約期間は当初2017年までの12年間でしたが、その後10年延長され、2027年までとなっています。

2010年1月13日には、グラスファイバー製の屋根の一部が破損しているのが発見されました。調査の結果、屋根に堆積した雪の荷重や部材の隙間に入り込んだ水の凍結と融解が繰り返されたことによる疲労が原因と推定されました。同年12月にも同様の事故が発生したため、2013年11月には総工費1800万ユーロを投じて屋根の一部の部材をポリエステル製に変更するなどの対策が施されました。

2020年1月16日、シャルケは建設資金のうち融資で賄っていた約1億2300万ユーロを2019年7月付で完済したことを公表しました。

施設概要

スタジアム地下にはフェルティンスが所有する約52,000リットル貯蔵可能なビールタンクがあり、そこから総延長5,000メートルにわたるビール用パイプラインがスタジアム内の各売店やラウンジ、レストランにつながっています。これにより、観客はスタジアム内のどこでも新鮮なビールを楽しむことができます。芝生部分は札幌ドームと同様の可動式で、普段は屋外で養生されており、サッカーの試合がある時にスタンドの下の空間を通して移動させます。屋根は開閉式で、約30分で開閉可能です。屋根下の天井部分には、かつてフィリップス製の4面式ビジョンが吊り下げられていましたが、2016年にハイセンス製のLEDビジョンに交換されました。

スタジアム内の売店では、クレジットカード、デビットカード、Apple Pay、Google Payに加えて、「クナッペンカルテ」（Knappenkarte, 「炭鉱夫カード」の意）と呼ばれる繰り返し入金可能なプリペイドカードによる決済方法が採用されています。このカードは100種類以上のデザインが発行されており、コレクションの対象にもなっています。

開催された主な大会・イベント

サッカー

2006 FIFAワールドカップ
国際試合

その他

バイアスロンのワールドチームチャレンジが開催されているほか、2007年と2008年にはスピードウェイ・グランプリが開催されました。

2004年9月12日にはハンドボール・ブンデスリーガで30,925人を動員し、2010年アイスホッケー世界選手権開幕戦では当時としては史上最多の77,803名の観衆を動員しました。

ボクシングでは、2009年6月20日に世界ヘビー級王者ウラジミール・クリチコ対ルスラン・チャガエフのタイトルマッチが、2010年5月29日にはビタリ・クリチコのWBC世界ヘビー級選手権試合（対戦相手：アルバート・ソスノウスキー）が行われました。

また、ポール・マッカートニーやボン・ジョヴィをはじめとした数々のミュージシャンのライブや、ドイツ国内の人気シュラーガー歌手が集結する「シュラーガーナハト」といった音楽イベントも多数開催されています。

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