フェルナンド・エスカルティン

フェルナンド・エスカルティン・コティは、1968年1月24日、スペインのウエスカ県ビエスカスに生まれました。彼は、卓越した登坂力を武器に、ロードレース選手として輝かしいキャリアを築きました。

初期の活躍：アシストからエースへ

エスカルティンは当初、山岳アシストとしてその才能を開花させました。1993年のブエルタ・ア・エスパーニャでは、総合優勝を果たしたトニー・ロミンゲルのアシストを務めながら、自身も総合10位に入る健闘を見せました。同年のツール・ド・フランスでも、ロミンゲルのサポート役として貢献し、総合30位という成績を残しました。翌1994年も、ブエルタ・ア・エスパーニャでロミンゲルの総合優勝を支えつつ、総合9位に入賞。ツール・ド・フランスでは、エースのロミンゲルが体調不良でリタイアした後も、上位争いに食い込み、総合12位となりました。1995年のツール・ド・フランスでは、不調のロミンゲルを上回る総合7位でゴールし、翌年からケルメに移籍し、エースとしての地位を確立します。

エースとしての躍進

1997年は、エスカルティンにとって飛躍の年となりました。カタルーニャ一周で総合優勝、ツール・ド・フランスでは総合5位、ブエルタ・ア・エスパーニャでは総合2位という素晴らしい成績を収めました。1998年のツール・ド・フランスでは、山岳ステージでマルコ・パンターニとの決定的な逃げを成功させ、一時総合3位まで順位を上げましたが、フェスティナ事件に端を発した警察の取り調べに対し、ローラン・ジャラベール率いるオンセチームがレースのボイコットを宣言。スペインに本拠を置くチームはすべてこのボイコットに同調したため、表彰台目前で無念のリタイアを余儀なくされました。

1999年のツール・ド・フランスでは、序盤から圧倒的な強さを見せていたランス・アームストロングに対し、唯一、脅威となるタイム差まで追い詰める走りを見せ、グランツールで初の区間優勝を獲得し、総合でも3位に入賞しました。

晩年と引退後

2000年に入ると、ハビエル・オチョア、ロベルト・エラスといった若手が台頭し、さらにスポンサーの経営悪化によりチームの財政状況が悪化したため、2001年にはドイツのチームコーストに移籍。ここでも、ジロ・デ・イタリアで8位に入るなど、安定した実力を見せましたが、2002年に現役を引退しました。

ドーピング問題とその後

ランス・アームストロングのドーピング問題により、1999年から2005年の記録が抹消されましたが、USADAのレポートでは、この期間中の7回のツール・ド・フランスで表彰台に上った延べ21人の選手の中で、エスカルティンはドーピングに関与していない唯一の選手として報告されました。2013年には、アブラハム・オラーノが1998年のツール・ド・フランスの検体の再検査によりドーピングが発覚し、ブエルタ・ア・エスパーニャのテクニカルディレクターを解任されたため、エスカルティンが後任を務めることになりました。

フェルナンド・エスカルティンは、その実力とクリーンなイメージで、多くのファンに愛された選手でした。

もう一度検索