ローラン・ジャラベール

ローラン・ジャラベール：栄光と波紋の自転車競技人生

ローラン・ジャラベール（Laurent Jalabert）は、1968年11月30日生まれ、フランス・タルヌ県出身の元自転車競技選手です。グランツールでの総合優勝は1995年のブエルタ・ア・エスパーニャのみですが、数々の記録を打ち立てた名選手として知られています。ファンからは「ジャジャ（JAJA）」や「パンダ」の愛称で親しまれていました。

輝かしいキャリア

1989年にトウシバ・チームでプロデビューし、3年目にはエースとして活躍しました。1992年にスペインのオンセへ移籍してからは、長らくエースとしてチームを牽引。2001年からはCSC-Tiscali（現チーム・サクソバンク）へ移籍し、2年連続で山岳賞を獲得。2002年に現役を引退しました。

1995年のブエルタ・ア・エスパーニャでは、区間5勝を挙げ、第3ステージから総合トップを維持して総合優勝を果たしました。さらに、ポイント賞、山岳賞も制し、『三冠王』に輝きました。グランツールにおける同一年度の『三冠王』は、エディ・メルクス、トニー・ロミンゲルに次ぐ史上3人目の快挙でした。また、史上3人しかいない全グランツールでのポイント賞獲得も達成しており、グランツールにおけるポイント賞、山岳賞の受賞回数は通算10回に及びます。

オールラウンダーとしての才能

当初はスプリンター型の選手でしたが、オンセへの移籍後は山岳もこなせるようになり、オールラウンダーとして数々のステージレースやクラシックレースで勝利を重ねました。1994年のツール・ド・フランスでの落車事故で選手生命の危機に瀕しましたが、翌1995年のツール・ド・フランスではマイヨベールを獲得し、第12ステージの山岳ステージで優勝、総合4位に入りました。1997年の世界選手権個人タイムトライアルを制するなど、タイムトライアルでもその実力を発揮しました。

しかし、高山病に悩まされ、グランツールの総合優勝争いでは苦戦することも多かったようです。ツール・ド・フランスでは、フランス革命記念日の7月14日に2度（1995年、2001年）ステージ優勝を果たしています。

引退後の活動

2002年の引退後は、LOOKのコンサルタントやフレームビルダー、テレビ解説者として活動しています。また、2005年にはニューヨークシティマラソンに出場し、2時間55分39秒で完走。近年ではトライアスロンにも挑戦しているようです。

ドーピング問題

選手会長やスポークスマンを務めるなど、他の選手からの信頼も厚かったジャラベールですが、1998年のツール・ド・フランスのドーピング騒動（フェスティナ事件）では、警察の介入に対する抗議としてプロトン全体によるストライキを先導しました。

しかし、2013年、1998年のツール・ド・フランスで採取された血液サンプルの再検査で、エリスロポエチン（EPO）の使用が発覚。出演していたテレビ番組の解説者を降板することになりました。フランス上院のドーピング調査委員会も、EPO使用を公表しました。ただし、当時はEPOが禁止物質に指定されていなかったという事情もあります。

主な実績

UCI・ロードワールドランキングス 1位：1995, 1996, 1997,1999
世界自転車選手権 個人タイムトライアル優勝：1997
ツール・ド・フランス：ポイント賞（1992, 1995）、山岳賞（2001, 2002）
ジロ・デ・イタリア：ポイント賞（1999）
ブエルタ・ア・エスパーニャ：総合優勝、ポイント賞、山岳賞（1995）
ミラノ～サンレモ優勝：1995
ジロ・ディ・ロンバルディア優勝：1997
フレッシュ・ワロンヌ優勝：1995, 1997

ローラン・ジャラベールは、その輝かしい実績と、ドーピング問題という影の部分を持つ、複雑な魅力を持った自転車競技選手と言えるでしょう。

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