フェルナンド・ガゴ

フェルナンド・ガゴ：華麗なる才能と幾多の苦難を乗り越えたレジェンド

フェルナンド・ルベン・ガゴ。1986年生まれのアルゼンチン出身、イタリア系アルゼンチン人の元サッカー選手にして、現在はサッカー指導者です。華麗なテクニックと卓越した戦術眼を併せ持ち、アルゼンチンサッカー界の至宝として、数々の輝かしい功績を残しました。

ボカ・ジュニアーズでの輝かしいデビューとヨーロッパへの誘い

ブエノスアイレスで生まれたガゴは、ボカ・ジュニアーズの下部組織で才能を開花させます。2004年、わずか18歳でトップチームデビュー。中盤で重要な役割を担い、その卓越したプレーは瞬く間にヨーロッパの強豪クラブの注目を集めました。レアル・マドリードやFCバルセロナといった名門クラブが、将来を嘱望する若き才能を獲得しようと熱心に動いたのです。

レアル・マドリードでの挑戦と栄光、そして苦悩

2006年、ガゴはレアル・マドリードへの移籍を果たします。移籍金は2040万ユーロにのぼる高額なものでした。レドンドやバルダーノといったレジェンドが築き上げてきたレアル・マドリードの中盤で、ガゴは守備的ミッドフィールダーとしてプレーすることを期待されました。

リーガ・エスパニョーラデビュー戦では、チームの不調に巻き込まれながらも、その才能の片鱗を見せつけました。2006-07シーズンは背番号16番をまとい、チームはバルセロナとの激戦の末、優勝を果たします。このシーズンのレクレアティーボ・ウェルバ戦でのアシストは、優勝争いに大きく貢献する劇的なものでした。

続く2007-08シーズンは、中盤以降、不動のレギュラーとして活躍。リーグ連覇に大きく貢献します。しかし、マンチェスター・シティへの移籍はクラブ間の合意が得られず、実現しませんでした。

その後も、負傷に見舞われながらも、チームの中心選手として活躍を続け、2008-09シーズンには6アシストを記録しました。また、アルゼンチン代表でつけていた背番号5番をレアル・マドリードでも着用するようになります。

しかし、モウリーニョ監督の就任後は、出場機会が激減します。シャビ・アロンソやサミ・ケディラといった選手が重用されたこと、そして度重なる怪我の影響が大きく響いたのです。

イタリア、スペイン、そしてアルゼンチンへの帰還

2011年、ガゴはASローマにレンタル移籍。セリエA初ゴールも記録するものの、レアル・マドリードへの復帰を決めました。2012年にはバレンシアCFに移籍するも、出場機会に恵まれず、古巣ボカ・ジュニアーズへの復帰を希望します。

2013年にはベレス・サルスフィエルドへのレンタル移籍を経て、ボカ・ジュニアーズに完全移籍。再びボカ・ジュニアーズでプレーする機会を得たガゴでしたが、度重なる怪我に苦しみながらも、2015年にはリーグ優勝を経験、その後もリーグ連覇を達成しました。コパ・リベルタドーレス準優勝という輝かしい結果を残すも、右アキレス腱裂傷により、2019年には現役引退を決意します。

その後、ベレス・サルスフィエルドに復帰するも、2020年には現役を引退。華麗なプレーでファンを魅了したガゴの選手としてのキャリアは幕を閉じました。

アルゼンチン代表での活躍と指導者への転身

2005年にはU-20アルゼンチン代表としてFIFAワールドユース選手権で優勝。メッシらと共に世界を制覇しました。A代表でも活躍し、ワールドカップやコパ・アメリカにも出場しています。マラドーナ監督の下ではレギュラーとして活躍したものの、2010年ワールドカップ出場は叶いませんでした。2014年ワールドカップにも出場し、決勝戦にも出場するも、準優勝に終わります。

引退後は指導者としてキャリアをスタートさせました。2021年にはアルドシビ、ラシン・クラブの監督を務めました。

プライベート

ガゴは、文学と美術を愛し、スペインに降り立った際に最初に訪れたのはプラド美術館だったと言われています。テニス選手のヒセラ・ドゥルコと結婚し、子供にも恵まれました。また、ボカ・ジュニアーズのユース出身でありながら、ライバルクラブであるインデペンディエンテのサポーターであるという、意外な一面も持っています。

フェルナンド・ガゴ。その名は、アルゼンチンサッカー史に、そして多くのサッカーファンの中に、永遠に刻まれることでしょう。

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