フェルナンド・デ・ラ・ルア

フェルナンド・デ・ラ・ルア：激動の時代を生きたアルゼンチンの大統領

フェルナンド・デ・ラ・ルア（1937年9月15日 - 2019年7月9日）は、アルゼンチンの政治家であり、1999年から2001年まで大統領を務めました。労働・正義・教育のための同盟に所属し、その政権は深刻な経済危機と社会不安に直面しました。

生い立ちと初期のキャリア

コルドバで生まれたデ・ラ・ルアは、法学の学士号を取得後、若くして政界入りしました。父親が中道・急進市民同盟（UCR）の支持者であった影響を受け、1963年にはアルトゥロ・イリャ政権の内務相に抜擢されるなど、早くからその才能を発揮しました。

1973年には上院議員に初当選し、同年9月の大統領選ではUCRのリカルド・バルビン議員の副大統領候補として指名されましたが、フアン・ペロンに敗れました。36歳という若さから「チュペテ（おしゃぶり）」という愛称で呼ばれました。

1976年のクーデター後は、ブエノスアイレス大学で刑法学を教える傍ら、法律に関する著書を執筆しました。民主化後の1983年には上院議員に再選され、その後も下院議員、そして再び上院議員として活躍しました。1996年にはブエノスアイレス初の民選市長に就任し、その手腕を発揮しました。

大統領として

1999年の大統領選でデ・ラ・ルアは、当時のカルロス・メネム大統領の汚職体質や経済問題に対する不満を背景に、エドゥアルド・ドゥアルデを破り当選しました。しかし、就任直後から深刻な経済危機に直面しました。

公共事業費や教員給与の削減などの緊縮政策を実施しましたが、経済状況は改善せず、連立与党内の不協和音や自身のカリスマ性の欠如も重なり、政権は支持を失っていきました。2001年には、経済相の交代や預金引き出し制限などの措置を講じましたが、国民の不満は爆発し、暴動が発生しました。

辞任

2001年12月、デ・ラ・ルアは大統領職を辞任しました。その辞任は、アルゼンチンを揺るがす政治的、経済的危機の頂点でした。

辞任後

辞任後、デ・ラ・ルアは暴動鎮圧や贈収賄事件、債務交換に関する不正疑惑など、数々の訴追を受けましたが、最終的には無罪となりました。2019年7月9日、ブエノスアイレスで81歳で亡くなりました。

フェルナンド・デ・ラ・ルアの生涯は、アルゼンチンの現代史における激動の時代を象徴しています。彼の政治キャリアは、希望と失望、成功と挫折が交錯するものであり、アルゼンチン国民の記憶に深く刻まれています。

彼はその政策と、危機の時代に国を率いることがどれほど難しいかを後世に伝えることになりました。

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