フェロー諸島のバラッド

フェロー諸島のバラッド（フェロー語: Kvæði）は、クヴェアイとも呼ばれ、鎖状の輪になって踊るチェーンダンス（フェロー・ダンス）と共に謡われる古い民謡です。数百ものバラッドが現存し、その中には北欧神話に題材をとったものも含まれています。

歴史的背景

バラッドの起源は、古代ノース人やヴァイキングの文化に遡ると考えられています。ヴァイキング入植地や国家で歌い踊り継がれてきましたが、キリスト教化の波や時代の変遷とともに、ヨーロッパ北部では衰退していきました。しかし、フェロー諸島ではその伝統が生き残り、口伝によって歌い継がれてきました。1800年代初頭から記録が残されるようになり、口承文化がフェロー語の保存に貢献したと言われています。

バラッドの特徴

バラッドは、各行の合間に畳句（リフレイン）を挟みながら、数百もの連（スタンザ）を歌い込むことが可能です。有名なバラッドの一つに、イエンス・クリスチャン・デュルフースによって書かれた『長蛇号』（Ormurin Langi）があります。このバラッドは、伝説的なヴァイキング船を題材にしており、今日ではフェロー諸島のロックバンド、Týr（テュール）が自身の楽曲に取り入れています。

ルイーマ（Rímur）

フェロー諸島には、ルイーマ（ríma, 複数形 rímur）と呼ばれる、アイスランドから伝わった民謡も残っています。ルイーマもバラッドと同様に、フェロー諸島の音楽文化において重要な位置を占めています。

現代への影響

フェロー諸島のバラッドは、現代の音楽にも影響を与えています。Týrのようなバンドが伝統的なバラッドを現代風にアレンジすることで、新たな世代にもその魅力が伝えられています。

フェロー諸島のバラッドは、単なる民謡にとどまらず、フェロー諸島の歴史や文化を伝える貴重な遺産であり、現代においてもその重要性は失われていません。

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