フォゾン

フォゾン

『フォゾン』（PHOZON）は、1983年11月に日本のゲームメーカーであるナムコ（現在のバンダイナムコエンターテインメント）からアーケードゲームとしてリリースされた作品です。「前脳の右半分を刺激するゲーム」という印象的なキャッチフレーズが掲げられていました。

タイトルは、物理学の用語「Photon」をもじった造語で、キャラクター名も科学に由来しています。

ゲーム内容

プレイヤーは8方向レバーとボタンで自機「ケミック」を操作し、「モレック」を結合させて画面中央の完成図と同じ形状を作るのが目的です。完成するとその面（ステップ）はクリアとなります。敵キャラクターの「アトミック」に触れるなどするとミスとなり、残機が減ります。残機が全て無くなるとゲームオーバーです。

ゲームは3ステップで1ワールドを構成し、ワールドが進むほど完成図は複雑になり難易度が上がります。各ワールドのステップ3クリア後には「チャレンジングステージ」があり、これを終えると次のワールドへ進みます。

本作は本来8ワールドでループする設計でしたが、アーケード版にはバグがあり、ワールド9以降（実質35面目）で進行不能となるため、34面までしかプレイできませんでした。移植版ではこのバグが修正され、ワールド8以降が正しくループするようになっています。

開発初期には、モレックで自由な形を作り芸術点を競うアイデアも検討されたといいます。

登場キャラクター

ケミック (CHEMIC)：自機。モレックの結合と分離を行います。
モレック (MOLEC)：結合対象の丸い物体。4色あり、同色連続結合でボーナス点。アトミックの攻撃で破壊されることもあります。ステージ毎に出現数が決まっており、時間内に完成できないと最初からやり直しです。
パワーモレック (POWER MOLEC)：点滅したモレック。結合すると一定時間無敵になり、アトミックを破壊できます。
アトミック (ATOMIC)：敵。合体・分離しながらケミックに体当たりします。高次面では弾を発射します。
* アルファー線 (ALPHA) / ベータ線 (BETA)：アトミックが放出し、ケミックに結合したモレックを破壊します。

その他の要素と影響

ゲームには隠しエクステンドや、モレックの特性を利用した永久パターンといった要素も存在しました。また、アーケード版ではバグで到達困難でしたが、特定の高次面ではユニークな画面表示が現れる仕掛けもありました。

本作のサウンドは、後のゲーム音楽に影響を与えています。作曲家の細井聡司氏は、本作の効果音と音楽が一体となった独特のサウンドに感銘を受け、ゲーム音楽家を志すきっかけの一つになったと述べています。

移植版

アーケード版から長らく家庭用への移植はありませんでしたが、1996年に「ナムコミュージアム」シリーズで初めて移植が実現しました。この移植版は、アーケード版の挙動を高い精度で再現しつつ、致命的なバグを修正して正しくループするように改良されました。縦画面に加え、家庭用向けの横画面表示や資料を閲覧できるモードも追加されています。その後も「アーケードアーカイブス」シリーズなどで移植され、オリジナルのバグを修正した状態で、より多くのプレイヤーが楽しめるようになりました。

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