フォトグラム

フォトグラムの全貌

フォトグラムとは、カメラを一切使わずに物体を印画紙の上に置き、その影や光を利用して制作される写真作品です。この技法は1830年代に最初の形態が確立され、ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットが制作した作品にその影響が見られます。しかし、フォトグラムとしての系統的なスタイルは1910年代末にクリスチャン・シャドによるシャドグラフを通じて具体化されました。

1920年代初頭には、著名なアーティストのマン・レイやラースロー・モホリ＝ナジも独自にフォトグラムを大量に制作し、その後この技法は広く一般に受け入れられるようになりました。このように、フォトグラムは20世紀の前衛芸術において重要な位置を占めるようになったのです。

名前の由来と変遷

「フォトグラム」という名称はモホリ＝ナジによって提唱され、現在ではこの技術を指す一般的な用語となっています。一方で、マン・レイはこの技法を「レイヨグラフ」と呼び、互換性のある用語として「レイヨグラム」も存在しますが、厳密にはマン・レイの名称はレイヨグラフに特有のものであるため、これらの呼称には混乱が生じることもあります。

特に、マン・レイの作品には手書きで「Rayograph」と名づけられたものもあります。この作品は芸術の歴史において重要な位置を占めており、彼の創作活動の一端を示しています。

フォトグラムの日本における歴史

日本においてもフォトグラム技法が取り入れられるようになり、特に戦前には中山岩太や瑛九などのアーティストがこの技法に取り組んでいました。瑛九は特に多くのフォトグラム作品を残し、「フォトデッサン」という独自のスタイルで知られています。戦後に入ると、杉浦邦恵がこの技法をさらに広め、フォトグラムの認知度を高めました。

著名なフォトグラム作家

フォトグラムを手がけた作家は非常に多岐にわたります。その中でも、クリスチャン・シャドやマン・レイ、ラースロー・モホリ＝ナジは特に知名度が高いです。以下にいくつかの作家名と制作年を挙げます。

• - Christian Schad (1919)
• - Man Ray (1922)
• - Laszlo Moholy-Nagy (1926)
• - Ei-Kyu (1936)

日本でのフォトグラム展覧会

日本国内には、まとまった形でフォトグラムを特集した展覧会は少ないですが、1997年に開催された「光の化石　瑛九とフォトグラムの世界」は重要なイベントです。この展覧会を通じて、瑛九の作品とフォトグラム技法に対する理解が深まったといえます。

まとめ

フォトグラムは、その独特な制作方法と表現力から、写真芸術の中でも特異な地位を持っています。歴史的背景や主要な作家の活動を知ることで、この技法に対する理解が一層深まります。フォトグラムは現代のアートシーンでもなお鮮烈な印象を残し続けているのです。

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