印画紙

印画紙とは

印画紙とは、写真フィルムに記録された画像を、陽画として紙に定着させるための感光材料を塗布した用紙のことです。通常、写真フィルムよりも大きな像を得るために、引き伸ばし機で拡大投影した像を記録するために用いられます。また、デジタル[[画像]]を高品質に出力する際にも使用されることがあります。

印画紙の概要

印画紙は、写真フィルムに比べて一般的に感度が低く設定されています。印画紙の現像処理には暗室が必要ですが、完全な暗闇である必要はなく、印画紙の種類に応じて指定された波長と明るさの光（セーフライト）の下であれば作業が可能です。モノクロ印画紙には赤色光、パンクロ印画紙やカラー印画紙には暗緑色光が用いられます。これは、印画紙が特定の波長の光には感光しない性質を利用したものです。

印画紙の分類

印画紙は、その機能や構造によって様々な種類に分類できます。

機能による分類

モノクロ印画紙:
白黒の濃淡で画像を表現する印画紙で、モノクロフィルムからの焼き付けに用いられます。銀粒子を使用して像を構成し、記録される画像のコントラストは「号数」という数字で区別されます。この印画紙の乳剤はレギュラー乳剤であり、特定の波長の赤色光には感光しません。
多諧調印画紙:
専用のフィルターを交換することで、1種類の印画紙で様々なコントラストの画像を得られる印画紙です。露光する光の波長ごとの強度分布を変化させることでコントラストを調整します。マルチグレードペーパーやバリアブルコントラストペーパーとも呼ばれます。この印画紙の乳剤はオルソクロマチック乳剤です。通常の印画紙は「号数紙」と呼ばれます。
パンクロ印画紙（全整色性印画紙）:
カラーネガ[[フィルム]]に記録された画像をモノクロで表現するための印画紙です。通常の印画紙では赤色に反応しないため、コントラストが低くなったり、画像の粒子が粗くなる場合がありますが、パンクロ印画紙は赤色にも反応するパンクロマチック乳剤を使用することで、これらの問題を解消します。
カラー印画紙:
フルカラーで画像を表現する印画紙で、ネガ[[フィルム]]用とリバーサルフィルム用があります。基本構造は同じです。

構造による分類

印画紙は、紙の上に感光材料（乳剤）を塗布した構造が基本で、主に以下の2つに分類されます。

バライタ:
支持体となる紙の上に、紙を白く見せるための下塗り層（バライタ層）を塗り、その上に乳剤を塗った層を持つ印画紙です。以前は印画紙といえばバライタ紙が主流でした。バライタ紙の特長は、独特のきめ細かいテクスチャによる描写の美しさで、美術品として展示される写真の多くに使用されています。しかし、RCペーパーに比べて強度が低いことや、現像液や定着液などの薬品を吸収しやすく、水洗に時間がかかる、乾燥時に平面を保つのが難しいなどの短所もあります。また、水分を含んだ状態から乾燥させると縮む性質があるため、写真を木製パネルに貼る際には水張りという方法が用いられます。フェロタイプ乾燥を行うことで表面の光沢を増すことができます。
RC:
バライタ紙の両面に樹脂層（RC=Resin Coating：レジンコート）を設けることで、薬品を吸収しやすいというバライタ紙の欠点を解消した印画紙です。乾燥時に縮まないため、水張りには不向きです。表面の樹脂層のテクスチャを調整することで、強い光沢を出したり、光沢を抑えたりすることができます。露光後、現像液に浸すと、バライタ紙よりも早く画像が現れますが、長時間現像液に浸けても画像の濃度はほとんど上昇しません（「押しが効かない」と表現される）。

サイズによる分類

印画紙のサイズを表す名称として「切」（せつ、きり、ぎり）というものがあります。これは全紙をいくつに切ったかに由来し、インチを基準にサイズが決められています。例外として名刺、手札、キャビネなどのサイズもあります。ポスターなどには、書籍と同様にISO規格で定められたA判やB判が用いられることもあります。

印画紙は、写真表現において非常に重要な役割を果たしています。それぞれの種類や特徴を理解し、適切な印画紙を選ぶことで、より豊かな写真表現が可能になります。

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