フォトレジスタ

フォトレジスタ：光を電気信号に変換する素子

フォトレジスタは、光の強さに応じて電気抵抗値が変化する電子部品です。光依存性抵抗(LDR)、光導電体、フォトセルなどとも呼ばれ、様々な電子機器に用いられています。

フォトレジスタの動作原理

フォトレジスタは、通常は高抵抗の半導体材料で作られています。光が照射されると、半導体内部の電子が光エネルギーを受けて励起され、伝導帯へと移動します。この結果、電子とホール（正孔）が生じ、電流が流れやすくなり、電気抵抗が低下します。

半導体の種類によって、光の吸収効率や感度が異なります。内因性型は、半導体材料自身の電子が励起されるのに対し、外因性型は不純物を添加することで、より低いエネルギーの光でも励起が可能です。後者は、より長波長の光にも感度を持つという利点があります。

代表的なフォトレジスタ：硫化カドミウムセル (CdSセル)

CdSセルは、[硫化カドミウム] を用いたフォトレジスタです。CdSは光の量に応じて抵抗値が変化する特性があり、光が強くなると抵抗値が低下します。CdSセルは、赤外線から紫外線まで幅広い波長の光に反応し、抵抗値の変化幅も大きいため、様々な用途に利用されてきました。

CdSセルは安価で入手が容易なため、かつてはカメラの露出計、時計付きラジオ、街灯の自動制御スイッチなど、身近な製品に多く使われていました。また、熱追尾ミサイルの目標探知にも利用された実績があります。

しかし、CdSセルに使用されているカドミウムは、RoHS指令の規制対象物質であるため、2006年7月以降、欧州連合への輸出製品への使用が制限されています。

CdSセルの特性と代替の難しさ

CdSセルは、容量性や誘導性を持たない純抵抗であり、周波数特性に優れ、無極性で耐電圧も比較的高いという特徴があります。電流電圧特性も比例的(オーミック) であり、利用が非常に簡単です。これらの特性を兼ね備えた代替品は、現状では容易に見つけることができません。

フォトレジスタの応用

フォトレジスタはCdSセル以外にも様々な種類があります。用途に合わせて、適切なフォトレジスタが選択されます。

身近な製品: CdSセルは、安価で手軽に利用できるため、過去には多くの民生機器に用いられていました。
楽器エフェクター: LEDと組み合わせてアナログフォトカプラとして、ギターなどのエフェクターやアナログシンセサイザーに使用されています。光による信号制御を実現できます。
* 赤外線天文学・赤外分光法: Ge:Cu光導電体は、遠赤外線検出に適しているため、赤外線天文学や赤外分光法といった高度な用途にも利用されています。

フォトレジスタは、光を電気信号に変換する基本的な光センサとして、今後も様々な分野で活用されていくでしょう。ただし、環境規制への対応など、材料選定の際には注意が必要です。

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