硫化カドミウム

硫化カドミウム：鮮やかな黄色と光電特性を併せ持つ化合物

硫化[カドミウム]は、硫黄とカドミウムからなる無機化合物で、鮮やかな黄色を特徴とする固体です。自然界では硫カドミウム鉱として産出しますが、その量は稀少です。

黄色の顔料としての歴史と用途

古くから黄色顔料として、絵画や染料などに利用されてきました。現在でも、その高い耐熱性から、機能性プラスチックなどのポリマー材料に添加剤として用いられ、製品の色調や耐光性を向上させる役割を担っています。

硫化カドミウムの種類と特性

硫化カドミウムは、その組成や添加物によって様々な特性を示します。

純粋な硫化カドミウム: 鮮やかな黄色から橙黄色を呈し、Pigment Yellow 37として顔料として利用されます。
セレン添加硫化カドミウム: セレンの添加によって、色調が黄橙色から赤紫色へと変化します。
硫化亜鉛カドミウム: 硫化亜鉛の添加により、淡黄色から鮮黄色を呈し、Pigment Yellow 35として顔料として用いられます。純粋な硫化カドミウムと比較して、より淡い黄色となります。また、独特の燐光を帯びる特徴があります。

これらの異なる種類は、用途や求められる色調に応じて使い分けられています。

光エレクトロニクス材料としての応用

硫化カドミウムは、半導体としての性質も持ち合わせています。2.42 eVというバンドギャップを持ち、光の強さに応じて電気抵抗が変化するという光電特性を示します。この特性を利用して、フォトレジスタ（光センサー）として、光の強さを電気信号に変換する役割を担います。

また、太陽電池など、光エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイスにも応用されています。光の照射によって発生する電流を利用し、太陽光発電に貢献しています。

まとめ

硫化カドミウムは、その鮮やかな黄色と優れた光電特性という、相反する特性を併せ持つ化合物です。顔料としての歴史と、現代の光エレクトロニクス材料としての応用は、その多様な可能性を示しています。今後ますます、その特性を活かした新しい用途が開発されていくことが期待されます。

関連項目

フォトレジスタ
硫カドミウム鉱
露出計

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