フォトン (カメラ)

フォトン（Foton）：ベル＆ハウエルが生んだ幻の高機能カメラ

フォトンは、アメリカの映画機材メーカー、ベル＆ハウエルが1938年から開発を始め、1948年に発売したレンジファインダーカメラです。同社は、ムービーカメラでその名を知られていましたが、フォトンは35mmフィルムを使用し、24×36mm判（ライカ判）の静止画カメラとして登場しました。

高機能を誇るも、商業的には不遇

フォトンは、当時としては非常に高度な機能を搭載していました。モータードライブを内蔵し、二重像合致式の連動距離計を備えていました。しかし、発売当時の価格は700ドルと非常に高価で、大型であったこともあり、商業的には成功を収めることができませんでした。そのため、1949年には495ドルに値下げされ、1950年には製造中止となりました。製造台数はわずか2,000台程度とされ、現存するものは数百台程度と言われています。

ユニークな操作系と高度なメカニズム

フォトンのシャッターボタンは、一般的なカメラとは異なり、ボディ前面に配置されています。巻き上げノブの横にあるボタンは、一見シャッターボタンに見えますが、実際には巻き戻しボタンです。シャッターは、マウント側から見るとバリオ型の2枚羽根のように見えますが、実際には縦走りの金属幕フォーカルプレーンシャッターが採用されています。

シャッター速度は、B、1秒から1/1000秒まで設定可能です。シャッターボタンの基部にあるレバーを「Repeat」にすると、連続撮影が可能になります。連続撮影のコマ数は資料によって異なりますが、3コマ/秒から6コマ/秒程度とされています。1回のチャージで約20コマ撮影することができます。ゼンマイ巻き上げキーはカメラの底面にあり、巻上ノブを持ち上げると手巻きも可能です。

専用マウントと交換レンズ

フォトンは専用のレンズマウントを採用しており、標準レンズとしてテーラー・テーラー・ホブソン製のクック・アモタール・アナスチグマット 2inT2.2（F2）が装着されています。交換レンズには、クック・フィールド・パンクロ 4inT2.8（F2.5）、クック・パンクロタール212mmF5.6、クック・パンクロタール313mmF5.6などがあります。

標準レンズはピッチの細かいネジマウントで、それ以外の交換レンズは外爪式のバヨネットマウントを採用しています。

特徴的なピント合わせ機構

ピント合わせは、シャッターボタンの横にあるダイヤルで行いますが、鏡胴を持って操作することも可能です。コンタックスのピント合わせに似ていますが、ダイヤルが縦方向に回転する点や、無限遠ロックがない点が異なります。

ファインダーとアクセサリーシュー

ファインダーは透視式で、二重像合致式の連動距離計が内蔵されています。アクセサリーシューはホットシューとなっており、専用ファインダーを取り付けても、その上にもホットシューが設けられています。

参考文献

北野邦雄『現代カメラ新書No.3、世界の珍品カメラ』朝日ソノラマ
田中長徳『銘機礼賛』日本カメラ社 ISBN 4-8179-0004-0
『クラシックカメラ専科No.50、ライカブック'99ライカのメカニズム』朝日ソノラマ

外部リンク

Foton - Camera-wiki.org（英語）

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