フォルクスワーゲン・ID.3

フォルクスワーゲン ID.3：革新的なコンパクトEV

フォルクスワーゲン ID.3 は、同社が展開するCセグメントの電気自動車です。2023年現在、日本市場への導入はされていませんが、欧州を中心に世界各国で販売され、高い人気を誇っています。ID.3は、フォルクスワーゲンの電動化戦略における重要なモデルであり、同社の技術力の高さを示す一台と言えるでしょう。

開発から量産、そして進化へ

ID.3 の開発は、2016年パリモーターショーで発表されたコンセプトカー「I.D. コンセプト」に端を発します。このコンセプトカーは、フォルクスワーゲンが新たに開発したEV専用プラットフォーム「モジュラーエレクトリックドライブマトリックス（MEB）」を初採用したモデルでした。このMEBプラットフォームは、EVの設計効率と性能向上に大きく貢献しています。

2019年には量産プロトタイプが公開され、「ID.3」という名称が正式に発表されました。車名に付けられた「3」は、ビートル、ゴルフに続くフォルクスワーゲンの革新的なモデルという意味が込められています。同年、フランクフルトモーターショーで量産モデルが公開され、ドイツのツヴィッカウ工場での量産が開始されました。2020年には欧州での発売が開始され、その後中国市場にも進出しています。

2021年には、ドレスデンの「ガラスの工場」でも生産が開始されました。この工場は、かつて高級車フェートンの生産拠点でしたが、生産終了後、フォルクスワーゲンの電動化戦略の象徴として改装され、新たな役割を担うこととなりました。

先進的なデザインと機能性

ID.3 は、MEBプラットフォームを採用したことで、EVならではの優れた走行性能とデザインを実現しています。エクステリアはゴルフシリーズを彷彿とさせるシルエットを踏襲しつつも、空力性能を重視したデザインとなっています。従来のエンジンルームが不要になったことで、フロントグリルは廃止され、その代わりに水平に配置されたLEDライトが特徴的なデザインとなっています。空力性能の最適化、床下のフラット化などの工夫により、Cd値は0.267という低数値を実現しています。

インテリアは、10インチのセンターディスプレイと小型のコックピットディスプレイを中心に構成され、シンプルで直感的な操作性を追求したデザインとなっています。ボタン類を極力減らすことで、ミニマルな空間を実現しています。また、軽量で環境負荷の少ない素材が使用されており、持続可能性への配慮も感じられます。

2023年にはフェイスリフトが行われ、空力性能と冷却性能の向上が図られています。センターディスプレイは12インチに大型化され、オプションとしてARヘッドアップディスプレイも選択できるようになりました。さらに、最新の運転支援システムであるトラベルアシストとパークアシストプラスも追加され、安全性能と利便性が向上しています。トラベルアシストは、ACC（アダプティブクルーズコントロール）やレーンキープアシストなどを統合した機能で、匿名データの活用により、さらなる性能向上を目指しています。パークアシストプラスは、自動駐車機能で、ドライバーの操作を記憶し、次回以降は自動で同じ駐車操作を行います。

パワートレインとバッテリー

ID.3 は、リヤモーターによる後輪駆動を採用しています。リチウムイオンバッテリーは、グレードによって45kWh、58kWh、77kWhの容量が選択できましたが、エントリーグレードの45kWhバッテリー搭載モデルは、半導体不足などの影響により、現在はラインナップから外されています。

まとめ

フォルクスワーゲン ID.3 は、革新的な技術とデザイン、そして高い環境性能を兼ね備えた一台です。日本への導入が待たれる、注目度の高いEVモデルと言えるでしょう。

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