フォルデシュ・アンドール

フォルデシュ・アンドール

フォルデシュ・アンドール（Földes Andor、1913年12月21日 - 1992年2月9日）は、ハンガリー出身の著名なピアニストです。アンドル・フォルデス(Andor Foldes)とも表記されます。

音楽に造詣の深い家庭に育ち、母親から手ほどきを受けた後、ティボール・サットマリに師事しました。早くから非凡な才能を示し、8歳でモーツァルトの協奏曲を演奏して神童として注目されます。フランツ・リスト音楽院に進み、ドホナーニ・エルネー、ヴェイネル・レオー、バルトーク・ベーラといった高名な師事を受けました。特にバルトークとの関係は、後の彼の音楽活動に大きな影響を与えました。

1933年にはフランツ・リスト国際ピアノ・コンクールでリスト賞を受賞し、ピアニストとしての名声を確立します。その後、一時演奏活動を中断して哲学と語学を学びましたが、1939年に演奏の舞台に復帰しました。しかし、第二次世界大戦の勃発により活動は困難に。戦禍を逃れるため、彼はヨーロッパからアメリカ合衆国へ亡命し、1948年に市民権を獲得しました。

戦後、活動の場を広げ、1957年にはドイツのザール音楽院ピアノ科教授に就任（1965年まで）。教育者として多くの後進を育てつつ、日本を含む世界各国で精力的に演奏会を行いました。また、ダルムシュタット夏季現代音楽講習会ではバルトーク音楽に関する講義を行い、その作品の普及と解釈の深化に貢献しました。

1961年からはスイスに居を構え、ヨーロッパを中心に活動。ピアニストとしてのみならず、指揮者としても活躍の幅を広げました。国際的な舞台で喝采を浴び続けたフォルデシュ・アンドールでしたが、1992年2月9日、スイスのヘルリベルクにある自宅で、階段からの不慮の事故により世を去りました。

ハンガリーが生んだこの音楽家は、ピアニスト、教育者、そしてバルトーク作品の解釈者として、20世紀音楽史に確かな足跡を残しました。

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