フォーク・ソング〜歌姫抒情歌

フォーク・ソング〜歌姫抒情歌

中森明菜が2008年12月24日にリリースした『フォーク・ソング〜歌姫抒情歌』は、彼女のカバーアルバムのひとつであり、1970年代のフォークソングを新たな解釈で楽しむことができる作品です。本作はユニバーサルシグマから発行され、異なるアートワークを持つ6種類のバージョンが同時に発売されました。これらには通常盤のCDに加え、初回限定盤でCDとDVDがセットになったものも含まれています。

アルバムの背景と制作

『フォーク・ソング〜歌姫抒情歌』は、さらなるカバーアルバムのシリーズとして位置づけられており、前作の『艶華 -Enka-』に続く新しい試みです。サウンド・プロデューサーとして鳥山雄司が参加し、明確なコンセプトのもと1970年代のフォークソングを選曲しました。収録曲は200曲近くの中から厳選され、歌詞の内面的な探求が感じられる内容に仕上げられています。

特にジャケットデザインにも注目が集まり、4種類はアンディ・ウォーホルの手法に影響を受けた作品となっています。中森自身がアメリカン・カルチャーに強い興味を持っていることが反映され、特に「マリリン・モンロー」を気に入っていることが伺えます。デザインに際しては「THE ANDY WARHOL FOUNDATION FOR THE VISUAL ARTS, INC.」から適切な許可を得て使用が実現されました。このように、視覚的にも聴覚的にも魅力的なアルバムとしてリスナーに訴求しています。

プロデュースの過程では、様々なスタジオで録音作業が行われ、初回限定盤Aにはレコーディングのドキュメンタリー映像が収録されています。中森は「歌詞の世界に没入し、涙を流すこともあった」と語りながらも、淡々とした歌唱を心掛けたことを明かしています。

批評と評価

本作は聴取者からも高い評価を得ており、『CDジャーナル』は「70年代の暗淡とした空気感がうまく表現されている」と評価しています。また、『47NEWS』の菊地利彦は、歳月を経て深みを増した明菜の歌声に注目し、当時と比べて変化した声質を楽しむことができると称賛しました。『SPA!』の石井恒は中森の歌唱スタイルが彼女の豊かな音楽人生を反映していると述べ、歌詞の感情に対する深い理解が見えると指摘しています。

チャート成績

『フォーク・ソング〜歌姫抒情歌』は、2009年1月12日付のオリコン週間アルバムチャートで最高30位を記録しました。この作品は合わせて7週間にわたってチャートに登場しており、多くのファンに支持を受けています。後に続く『フォーク・ソング2 〜歌姫哀翔歌』が2009年7月にリリースされ、両アルバムを引き下げたコンサートも行われました。

総括

『フォーク・ソング〜歌姫抒情歌』は中森明菜の音楽的な成長や革新を示す重要な作品であり、1970年代の名曲が新たな視点で楽しむことのできるアルバムに仕上がっています。彼女の成熟した歌声や選曲の奥深さを味わえる、ファン必見の作品と言えるでしょう。

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