フォーサイト家の女

フォーサイト家の女：ハリウッド黄金期の華麗なるロマンス

1949年、アメリカ合衆国で公開された映画『フォーサイト家の女』（原題: That Forsyte Woman）は、20世紀を代表する作家ジョン・ゴールズワージーの傑作小説『フォーサイト家物語』を基にした作品です。豪華絢爛なテクニカラー映像と、ハリウッドを代表するスターたちの競演によって、当時の観客を魅了しました。

本作は、コンプトン・ベネット監督による見事な演出で、小説の世界観を見事に再現しています。主人公ソームズ・フォーサイトを演じるのは、ハリウッド黄金期のスター、エロール・フリン。彼のパートナー、アイリーン役には、数々の名作に出演し、洗練された美しさで知られるグリア・ガースンが扮しています。さらに、ソームズの従兄ジョリオン役には、ベテラン俳優ウォルター・ピジョンがキャスティングされ、二人の絶妙な共演は、本作の見どころの一つとなっています。この作品は、ガースンとピジョンの6度目の共演作であり、彼らの熟練の演技は、物語に深みを与えています。

物語は、フォーサイト家という裕福な家系の複雑な人間関係と、愛と欲望が絡み合うドラマを描いています。ソームズとアイリーンの禁断の恋、そして周囲の人々の思惑が交錯する様子は、観る者の心を掴んで離しません。若き日のロバート・ヤングや、後にハリウッドを代表する女優となるジャネット・リーといった、今後の活躍が期待される俳優たちも出演しており、豪華なキャスト陣が織りなすドラマは、現代においても色褪せることはありません。

制作スタッフもハリウッドを代表するベテランたちが名を連ねています。撮影監督にはジョセフ・ルッテンバーグ、音楽にはブロニスラウ・ケイパー、美術にはセドリック・ギボンズとダニエル・B・キャスカートといった、それぞれの分野で高い評価を得ている専門家たちが参加しました。彼らの卓越した技術によって、映画は、当時のハリウッド映画の中でも最高レベルの技術水準を誇っています。華麗な衣装デザインは、ウォルター・プランケットとヴァレスによって手がけられ、アカデミー賞衣裳デザイン賞（カラー）にもノミネートされました。これは、本作の美術的な完成度の高さを示す大きな証です。

『フォーサイト家の女』は、単なる恋愛映画ではありません。時代背景や社会風習、そして人間の心の機微を丁寧に描き出すことで、観る者に深い感動と余韻を残す作品となっています。ゴールズワージーの小説を忠実に再現しつつも、映画独自の解釈を加えることで、新たな魅力を生み出しています。ハリウッド黄金期の映画史における重要な作品の一つとして、高く評価されています。


参考文献：

児玉数夫『MGM‐アメリカ映画黄金時代』（講談社文庫、1988）
筈見有弘『ハリウッド・カップルズ』（キネマ旬報社、1998）


関連サイト：

フォーサイト家の女 - allcinema
フォーサイト家の女 - KINENOTE
That Forsyte Woman - オールムービー（英語）
That Forsyte Woman - IMDb（英語）
That Forsyte Woman - American Film Institute Catalog（英語）
That Forsyte Woman - TCM Movie Database（英語）

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