フォード・エコスポーツ

フォード・エコスポーツとは

フォード・エコスポーツは、フォードが製造する小型クロスオーバーSUVです。エスケープ/クーガよりも小型で、同社のSUVラインナップの中で最もコンパクトな車種となります。初代モデルはラテンアメリカ市場を中心に展開され、2代目からはグローバルモデルとして世界中で販売されています。

初代（2003年 - 2012年）

初代エコスポーツは、2003年にブラジルのカマサリ工場で生産が開始されました。ヨーロッパ版フュージョンをベースに、フォードUSAトラック・ビークルセンターで設計が行われ、フォードB3プラットフォームを採用しています。

当初はラテンアメリカ専売モデルとして、ブラジル、アルゼンチン、ベネズエラ、メキシコなどで販売され、特にブラジルではベストセラーモデルの一つとなりました。2011年には累計販売台数が70万台に達しています。

2007年末にはフェイスリフトが実施され、フロントマスクが刷新されました。また、テールライト、フロントおよびリアバンパーも更新され、内装には上質な素材を用いた新しいデザインのダッシュボードが採用されました。

メカニズムとしては、直列4気筒エンジンを搭載し、ガソリンモデルは1.0Lスーパーチャージャー、1.6L、2.0Lの3種類、ディーゼルモデルは1.4Lの1種類が用意されていました。駆動方式はFFが標準で、2.0Lモデルには4速ATと4WDがオプションで設定されていました。

2代目（2012年 - ）

2代目エコスポーツは、ラテンアメリカでの成功と世界的なコンパクトクロスオーバーSUV人気の高まりを受け、グローバル戦略車として世界中で販売されることになりました。フィエスタMk.Ⅵをベースとし、プラットフォームにはグローバルB carプラットフォームを採用しています。

開発は初代と同様にブラジルのカマサリ工場で行われ、ラテンアメリカで開発された初のグローバルモデルとなりました。生産は、ブラジルに加え、中国、インド、タイでも行われています。

2代目は、高剛性ボディの採用により安全性能と走行性能が向上し、NVH性能もクラス最高レベルを目指しました。コンパクトSUVとしての扱いやすさに加え、着座位置が高いため運転時の視界が良く、安全な運転環境に貢献しています。また、横風への耐性が高く、荒れた路面でも安定した直進性を実現しています。スペアタイヤを背面に搭載しているため、重心位置が不利になるものの、ボディ、サスペンション、タイヤの相乗効果により、快適な乗り心地を実現しています。

オンロードでの使用を前提としていますが、アプローチアングル、デパーチャーアングル、最低地上高にも余裕があり、悪路走破性も確保されています。さらに、最大水深550mmまでの渡河も可能となっています。最小回転半径は5.5mと、上位モデルのクーガよりも小さく、取り回しの良さも特徴です。

エクステリアは、キネティックデザインの進化系であるニュー・グローバル・デザイン・ランゲージに則っており、同社のフィエスタに近いデザインとなっています。Cd値は0.371と、SUVとしては優れた数値を誇ります。背面スペアタイヤのデザインが特徴的ですが、ルームミラーからはタイヤが見えないようにリアウィンドウが設計されており、後方視界を遮ることはありません。リアゲートのレバーは右側のコンビネーションランプに組み込まれ、一体感のあるデザインとなっています。

インテリアは、過度な高級素材は使用されていませんが、撥水性の高いシートを採用しています。操作系は全てボタン方式で、センタークラスター上部には4.2インチのモニターが設置されています。収納スペースは20カ所あり、グローブボックスにはエアコンの冷風を利用して飲み物を冷やす機能も備わっています。後席は左右独立でリクライニングが可能で、荷室容量は通常時333L、後席を倒すと1,238Lに拡大します。

メカニズムは、ガソリンとエタノール共用の2.0L、1.6L、1.5L直列4気筒エンジン、ガソリン1.0L直列3気筒ターボエンジン、ディーゼル1.5L直列4気筒エンジンが用意されています。日本仕様の燃費は14.5km/Lです。トランスミッションは、5速・6速MTに加え、マニュアルモード付き6速DCTが用意されています。サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット、リアがツイストビームトレーリングアームを採用し、フィエスタをベースにSUV向けにチューニングされています。安全面では、7つのエアバッグ、ABS、ESP、EBAが装備されていますが、アクティブ・シティ・ストップは装備されていません。

沿革

2012年1月にコンセプトモデルがニューデリーオートエクスポで、4月には市販モデルが北京モーターショーで公開されました。同年9月には、欧州市場への投入が発表され、2014年5月には日本市場でも販売が開始されました。日本仕様は、インドで製造されたモデルで、ガソリン1.5Lエンジンと6速DCTのみの設定でした。

2016年11月にはマイナーチェンジモデルが発表されましたが、フォードが日本市場から撤退したため、日本には導入されませんでした。

まとめ

フォード・エコスポーツは、コンパクトなサイズでありながら、高い走破性と実用性を兼ね備えたSUVです。初代モデルはラテンアメリカ市場で人気を博し、2代目モデルはグローバル展開され、世界中で愛されています。

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