フォード・シエラ

フォード・シエラの概要

フォード・シエラは、1982年から1993年までの間、フォード・モーターの欧州部門によって製造された中型乗用車です。このモデルは、イギリスとドイツで生産されたコーティナおよびタウヌスの後継車と位置付けられ、多くの自動車業界の才能がその開発に携わりました。

デザインの革新

シエラの発表は1982年9月21日であり、当時の従来型モデルと比べて空力的なハッチバックデザインが特徴的でした。このデザインは、1981年に発表されたコンセプトカー「プローブIII」に影響を受けたもので、この時代のフォードでは生産車のエアロダイナミクスを重視する傾向が見られました。しかし、シエラの販売は初期には苦戦し、特にイギリスではデザインが「ゼリー型」や「セールスマンの宇宙船」と揶揄されることもありました。ボディタイプは初めて3ドアと5ドアのハッチバック、及びワゴンがあったが、トランク付きの4ドアセダンがなかったため、不評を招いていました。

シエラのデザインは、横風への不安定さという問題も抱えていましたが、これに対してはサイドウィンドウの後部に小さなスポイラーを追加する事で対策されました。また、後期モデルでは大型のヘッドライトが特徴的で、スポーティなグレードとともにデザインに磨きがかかりました。

際立つメカニズム

シエラは、ライバル車に比べて後輪駆動のレイアウトを採用していました。これは居住性において不利な面があったものの、スポーティモデルの人気を引き立てる要因ともなりました。発売当初のエンジンラインナップも多彩であり、OHVエンジンからディーゼルエンジンまで幅広く選択可能でした。特に1985年にはXR4iというスポーティモデルが登場し、新たにV6エンジンや全輪駆動オプションも追加されました。

派生モデルの充実

シエラには多様な派生モデルも用意されており、その一つが1987年に登場したシエラ・サファイアです。これは4ドアのノッチバックセダンで、従来のコーティナやタウヌスに代わる選択肢として喜ばれました。また、同年に誕生したXR4iは特徴的なスポイラーを持つモデルで、特に欧州市場向けにV6エンジンを搭載し、アメリカには4気筒ターボモデルとしても展開されました。

生産と販売

シエラの販売は初期は振るわなかったものの、最終的には約270万台が生産され、1992年に生産が終了するまでの10年間にわたり、多くの国で販売されました。南アフリカやニュージーランド、アルゼンチンなどでも現地で製造され、幅広い顧客層を獲得しました。当時日本でも正規輸入が行われ、その人気を博しました。

まとめ

フォード・シエラは、その斬新なデザインや豊富なエンジンラインナップ、派生モデルの多様性から、多くの自動車愛好家に支持される存在となりました。自動車史においても重要な位置を占めるモデルとして、多くの人々に記憶されています。

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