フクス装甲兵員輸送車

フクス装甲兵員輸送車

フクス装甲兵員輸送車（TPz Fuchs）は、ドイツのダイムラー・ベンツ社が開発した6×6輪駆動の装輪装甲兵員輸送車です。1979年からドイツ陸軍への配備が開始され、その高い汎用性から特殊任務用車両としても運用されています。「フクス」はドイツ語で「キツネ」を意味し、TPzはTransportpanzer（輸送戦車または輸送装甲車）の略称です。アメリカ軍では「M93 フォックス」として知られています。

概要

フクスは、兵員輸送車としてだけでなく、様々な派生型が存在することが特徴です。車体は、前部に乗員室と機関室、後部に兵員/貨物室を配置した構造となっています。水陸両用能力を有しており、2基のスクリューを装備することで水上航行が可能です。

派生型としては、以下のものが存在します。

RASITレーダー搭載車：レーダーによる監視・偵察任務に使用されます。
電子戦車両：電子戦装備を搭載し、敵の電子機器を妨害・無効化します。
指揮車両：部隊指揮・統制のための通信機器や情報処理装置を搭載しています。
装甲工兵車：地雷除去装置や障害物処理装置を搭載し、工兵部隊を支援します。
EOD（爆発物処理）車：爆発物処理ロボットや特殊装備を搭載し、爆発物の探知・処理を行います。
NBC偵察車両：化学・生物・放射性物質を検知・識別するための特殊なセンサーや分析装置を搭載しています。NBC偵察車両は特に海外への輸出が多く、アメリカ陸軍でも採用されています。
ワイルドキャット：発展途上国向けに対空砲を搭載した派生型も開発されましたが、採用国はありませんでした。

2001年には改良型のフクス2が発表され、2007年から輸出が開始されました。フクス2では、エンジン、ブレーキ、車内デザインが改良され、積載量が従来の4トンから8トンに向上しています。また、車上デジタルネットワーク、タイヤ空気圧調整機構、モジュラー装甲が採用され、性能が大幅に向上しています。

フクスの生産数は、輸出向けを含めて約1,300両となっています。

運用国

アラブ首長国連邦：32両（フクス2）
アルジェリア：980両（フクス2）
ドイツ：1,041両（うち728両をアップグレード予定）
オランダ：22両
ノルウェー：8両
クウェート：11両（フクス2も発注）
サウジアラビア：36両
アメリカ合衆国：123両（M93 フォックス。M1135 ストライカーNBC RVと交代予定）
イギリス：11両（旧ドイツ陸軍の車両をイギリス仕様に改造）
ベネズエラ：10両

関連項目

装甲兵員輸送車
* 装輪装甲車

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