フジテレビ札幌支局

フジテレビ札幌支局は、1970年4月1日から1972年3月31日までの約2年間、フジテレビが北海道全域の取材拠点として札幌市に設置していた支局です。

設置の経緯

フジテレビは開局当初、北海道を含む東日本の各地を直接取材していました。しかし、1968年以降、UHFテレビ局の開局ラッシュが始まると、全国ニュースネットワーク（FNN）構想を打ち出し、地方局を積極的にネットワークに勧誘しました。地方局に取材を委託する方針に転換したのです。

しかし、開局支援を行い、一旦はフジテレビ系列局としての開局が内定していたものの、当時のフジテレビ会長・鹿内信隆氏の手法に反発して、他系列に流れる局（青森テレビ、テレビ山梨、テレビ高知）や、一般番組供給組織（FNS）のみに加盟する局（福島テレビ、テレビ山口）が現れました。さらに、最初からフジテレビ系列局の設立を予定していなかった県（岩手県、徳島県）もあり、1969年10月1日のFNS発足時には、取材空白域が生じることになりました。

そこで、フジテレビは、1970年4月1日より、取材空白域に支局を設置し、取材を開始しました。一部地域では、近隣の系列局に取材を委託しました。札幌支局も、その一つです。

北海道における状況

北海道では、フジテレビの開局当初、最初の1ヶ月間は北海道放送（HBC）が単独で、4月1日からはHBCと札幌テレビ放送（STV）が共同で、後にSTVが実質的に単独に近い形でフジテレビ制作番組をネット放送していました。

ただし、HBCは五社連盟（JNN）に加盟していたため、ニュース番組をネットすることができず、STVは共同テレビニュース社のニュースを放送していたものの、加盟したネットワークはFNSのみで、ニュースネットワークのFNNには加盟しませんでした。この背景には、フジテレビと産経新聞がHBCの設立母体である北海道新聞と関係が深かった一方で、STVが競合紙の北海タイムス系列だったという事情がありました。

また、フジテレビは北海道テレビ放送（HTB）も誘いましたが、同局の設立母体である岩澤コンツェルンがNETテレビ（現テレビ朝日）を中心としたネットを選択したため、ネットワークに加えることができませんでした。やむを得ず、フジテレビは札幌支局を設置し、直接取材を行うことになりました。

支局の閉鎖とその後

設置から1年後、鹿内氏の地元である北海道に第4のテレビ局が割り当てられることになり、1971年末に北海道文化放送（UHB）が設立されました（設立には北海道新聞も関与）。そして、1972年4月1日にUHBが開局したことにより、札幌支局はわずか2年で閉鎖されました。以降、北海道内での取材はUHBが担当しています。

他の支局

札幌支局と同じ理由で設置されたフジテレビの支局には、以下のものがあります。

フジテレビ青森支局（青森テレビが参加する予定であった）
フジテレビ甲府支局（テレビ山梨が参加する予定であった）
* フジテレビ高知支局（テレビ高知が参加予定であった。高知さんさんテレビ開局により閉鎖。）

これらの支局も、系列局の開局やネットワークの拡大に伴い、順次閉鎖されました。

フジテレビ札幌支局は、開局当初のネットワーク構想の複雑さを反映した存在であり、その短い活動期間の中で、北海道におけるフジテレビの取材活動を支えました。

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