フスタネーラ

フスタネーラは、バルカン半島諸国で男性が着用する伝統的なスカート型の衣装です。アルバニア語では「fustanella」、ギリシャ語では「φουστανέλα」と表記されます。女性用のスカートは「フスタ」と呼ばれます。現代では、ギリシャの儀仗部隊であるエヴゾネスやアルバニアの親衛隊、そしてアルバニアやギリシャの民族舞踊の衣装の一部として用いられています。

かつて、フスタネーラは15世紀頃にアルバニア南部のトスク地方からギリシャに伝わったと考えられていたため、「アルバニア風シュミーズ」という別名も存在します。同様の衣装はシリアからルーマニアにかけて広く見られますが、その起源については諸説あり、定まっていません。

起源と歴史

フスタネーラの起源は古代ギリシャにまで遡ります。東ローマ帝国時代には、スカート型の衣装は「ポデア（podea）」と呼ばれていました。このポデアは、神話の英雄や辺境守備隊であるアクリタイ、そして12世紀以降はマヌエル1世コムネノスの象徴とされていました。オスマン帝国の支配下では、フスタネーラは山賊とその対策部隊であるアルマトロイが着用していました。

18世紀から19世紀初頭にかけて、独立の気運が高まる中で、フスタネーラは民族全体の象徴として認識されるようになりました。当時のフスタネーラは膝下丈で、裾はガーターでブーツにたくし込まれていました。ギリシャ王国時代になると、スカートは膝上丈まで短くなり、靴下型のタイツと編み上げブーツ、またはポンポン飾りの付いた靴を合わせるスタイルが一般的になりました。現代のギリシャの儀仗部隊エヴゾネスは、このスタイルを踏襲しています。

衣装の構成

フスタネーラは、木綿の一枚布から作られ、一般的なプリーツスカートと同様の手法で仕立てられますが、特徴的なのはその襞の多さです。特にエヴゾネスのフスタネーラには、トルコによる支配年数にちなんで400もの襞が畳まれています。着用する際には、左右が分かれた白のジャージストッキングを履き、その上に白木綿の靴下を重ね、黒い房付きのガーターで留めます。また、裾がまっすぐに断ち切られた、腰丈でゆったりとしたビショップスリーブ風の白いプカミサ（シャツ）を着用します。フスタネーラを腰に結わえ、その上から幅8センチ、長さ230センチほどの縞模様の帯を巻きます。

足元には、爪先に黒いポンポンの付いた赤い革製のツアルヒア（tsarouchia）という靴を履きます。このポンポンは、独立戦争時代に靴に隠したナイフの刃先を隠すために用いられていた名残です。頭には、赤いフェルトを五枚矧ぎにして黒いふさ飾りを施した縁なし帽を被ります。上着としては、ピスリと呼ばれるトルコ風の体にぴったりとした綴れ織りの腰丈ジャケットを着用します。

関連項目

フスタネーラに関連する項目として、以下が挙げられます。

メンズ・スカート
キルト (衣装)
ヴラーカ
民族衣装一覧

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