フセヴォロド・ルードネフ

フセヴォロド・ルードネフの生涯

フセヴォロド・ルードネフ（1855年8月19日 - 1913年7月7日）は、帝政ロシアの名将として名を馳せた海軍少将であり、特に日露戦争の仁川沖海戦における勇敢な行動で有名です。彼は、日本に降伏しなかったことで、ロシア国内で英雄として崇められています。

若き日のルードネフ

ルードネフは、トゥーラ県のヤッツコエ村にある海軍の家庭に生まれました。彼の家系は長い間海に関わる職業についており、父も露土戦争の英雄として知られています。彼は海事学校を卒業後、艦隊射撃学校にも通い、しっかりとした海軍の基盤を築きました。ルードネフは1877年に准尉として軍に入隊し、その後も着実に業務に従事しました。

ルードネフは、1880年から1883年にかけて巡洋艦「アフリカ」で世界一周航海を行い、その経験を元に1909年に回想録を執筆しました。また、1897年には航洋砲艦「グレミャーシチイ」の艦長として、かなりの挑戦を伴う単独世界周航を成功させました。このように、彼は常に困難な任務をこなしていくことによって、海軍内での地位を確立していきました。

日露戦争と仁川沖海戦

1900年には旅順港の司令補佐官に就任し、1903年には一等防護巡洋艦「ヴァリャーグ」の艦長に指名されました。彼の指導の下で、同艦は日露戦争初日にあたる1904年2月8日に旧式の艦艇である「コレーエツ」と共に仁川港に停泊していました。

日本海軍が陸軍部隊の上陸支援のために入港してきた際、ルードネフは日本側からの退去勧告を受け入れず、2月9日に艦を出港させました。そこから始まった仁川沖海戦で、彼は日本海軍との激しい砲撃戦を展開しましたが、戦況は圧倒的不利であり、結果として「ヴァリャーグ」は大破し、彼自身も重傷を負いました。戦後、艦の乗組員を陸上に引き上げた後、自ら艦を沈め、捕虜になることを避けました。

ルードネフの勇敢な指揮と戦闘における業績は高く評価され、彼はゲオルギー勲章を授与され、侍従武官に任命されました。彼は、1904年4月から戦艦「アンドレイ・ペルヴォズヴァーンヌイ」の艦長として勤務を続けましたが、1905年11月には、ある事件を理由に少将として退役を余儀なくされました。

賞と栄誉

日露関係が改善された1907年、ルードネフはその英勇を賞され、日本の明治天皇から旭日重光章を授与されました。この勲章を受け取った彼は、しかし、名誉の証として身に着けることはなかったと言われています。彼はその後、引退した故郷で静かな晩年を過ごし、1913年に亡くなりました。

彼の不屈の戦闘精神と勇気は、ソビエト連邦やロシア連邦時代を通じて称賛され続け、軍史に名を刻んでいます。ルードネフの勇敢な行動は、今も多くの人々にインスピレーションを与えており、彼の名は歴史に永遠に残ることでしょう。

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