フックスタール

ドイツ連邦共和国バイエルン州、オーバーバイエルン行政管区のランツベルク・アム・レヒ郡に属するフックスタールは、バイエルン州の州都ミュンヘンから南西へおよそ60キロメートルの距離にある町村です。行政面では、隣接するウンターディーセンとともにフックスタール行政共同体を形成しています。

地理と名称

広義におけるフックスタール地域は、ヴィースバッハ川の渓谷沿いに広がる一帯を指します。現在の町域は、レヒ川から西へ約2キロメートル離れた砂利のテラス上に位置するアッシュやマルクト・レーダー地区、そしてレヒ川に直接面するゼーシュタル地区などで構成されています。この町域には連邦道B17号線が通っており、その一部は風光明媚なロマンティック街道として知られています。また、古代ローマ時代に建設された重要な街道であるクラウディア・アウグスタ街道の跡は、現在自転車道として整備され、利用されています。

フックスタールの名称の由来には複数の説が存在します。一つには、この地域の渓谷の形状が、ドイツ語で煙突や煙道、あるいはキツネを意味する「Fuchs」を連想させることから名付けられたという説があります。もう一つは、夏季になるとこの一帯の湿地が赤褐色に染まり、その色がキツネの毛色に似ていたことに由来するという説です。

自治体の構成

フックスタール町は、公式には19の地区（Ort）によって構成されています。これらの地区には小規模な集落や孤立した農場も含まれますが、主要な集落としては以下が挙げられます。

アッシュ
エングラーツホーフェン
レヒミューレン
レーダー
レーマーケッセル
ゼーシュタル
* ヴェルデン

歴史

この地域への人類の定住の歴史は古く、ラ・テーヌ期にまで遡ることが考古学的に証明されています。特にアッシュやレーダー周辺からは、当時のものとされる丘陵墓や多くのケルト時代の方形防塁跡が発見されています。

町内で最も古い集落の一つとされるマルクト・レーダーは、おそらく8世紀頃にフランク人によって建設されたと考えられています。これは、当時のシュヴァーベン後背地をバイエルン人からの攻撃から守る防御拠点としての役割を持っていたと推測されています。集落名の「レーダー」は、人工的に川の流れを変更した場所を意味する言葉に由来するとされています。

マルクト・レーダーは、フラマン人、シュミートバッハ族、フライブルク家、アウクスブルクの商人で市長であったゴッセンブロート家やその娘婿レーリンガー家（彼がプロテスタント信仰を導入した）、そしてヤーコプ・フッガー家（カトリックに戻した）など、様々な支配者のもとで歴史を重ねました。1661年以降はアウクスブルク司教本部の保護領となり、かつては城塞も存在しましたが、現在はその遺構が見られます。マルクト・レーダーには古くから市場開催権があり、現在も食料品市が年に数回開催されています。

アッシュ地区は歴史的にアウクスブルクの聖シュテファン修道院の所領であり、領邦君主権および下級裁判権が及ぶ地域でした。この地区は伝統的にシュヴァーベンに属していました。一方、筏による川下りが盛んだったゼーシュタル地区は、「レヒライン」と呼ばれるレヒ川沿いの地域の一部で、古くからバイエルンに属していました。

第二次世界大戦中の1944年秋から1945年春にかけて、ゼーシュタルにはナチス・ドイツによるカウフェリング外部収容所群の一つが設置されていました。ここでは100人を超える人々が過酷な強制労働に従事させられ、多くの犠牲者が出ました。戦後、1950年にはバイエルン州政府によって、これらの犠牲者を追悼するための記念碑がレヒ川河畔に建立されています。

1803年の帝国代表者会議主要決議とこれに伴う世俗化によって、それまでシュヴァーベンやバイエルンに分かれていた現在のフックスタール町域全体がバイエルン王国の領土となりました。そして、バイエルン州における市町村再編の一環として、1972年に旧アッシュ、旧マルクト・レーダー、旧ゼーシュタールが合併し、現在のフックスタール町が誕生しました。さらに、1978年には隣接するウンターディーセン町と協力し、フックスタール行政共同体が設立されました。

行政と紋章

現在のフックスタールの町長は、エルヴィン・カルク氏が務めています。町議会は16議席で構成されています。

フックスタール町の紋章は、町が成立した1972年に採択されました。これにより、それまで使用されていた旧アッシュ村と旧マルクト・レーダー村の紋章は廃止されました。紋章のデザインは、銀色の基部に赤い船の舵の先端部分が描かれ、その上部は青地と金地に左右に分割されています。向かって左側の青地には銀色の斜め波帯が、向かって右側の金地には緑色のトネリコの葉が配されています。

この紋章の要素にはそれぞれ象徴的な意味があります。赤い船の舵は、かつて筏町として栄えたゼーシュタル地区を表しています。銀色の斜め波帯は、マルクト・レーダー地区を流れるシュミートバッハ川の流れを象徴しています。そして、緑色のトネリコの葉は、ドイツ語で「トネリコ」を意味する「Esche」がアッシュ（Asch）地区の名前に通じることに由来し、アッシュ地区を示しています。

文化と見所

マルクト・レーダー地区には、歴史的な経緯（1803年の世俗化に伴う建物の売却など）により、残念ながら古い建物はあまり多く残されていません。現存するものとしては、16世紀にはすでに記録があるという食堂（現在はレストラン「ルイトポルト」として営業）の一部や、現在は店舗として利用されている建物に付属する囲い壁の一部とともに残る領主の納屋などが挙げられます。

町域内には、主要な教会としてマルクト・レーダー地区にある「マリアの告知教区教会」と、ヴェルデン地区にある「聖シュテファン教区教会」があります。

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