フットブレーキ

フットブレーキとは

フットブレーキは、自動車やオートバイなどの車両を減速または停止させるために、足で操作するブレーキの総称です。一般的には「ブレーキ」と呼ばれることが多く、運転に欠かせない重要な装置です。

自転車のタイヤを靴底で摩擦して停止させる行為も「フットブレーキ」と呼ばれることがありますが、これは制動装置としての名称ではなく、特殊な走行テクニックとして認識されています。日本の道路交通法では、自転車の制動装置として認められていません。

パーキングブレーキ（サイドブレーキ）も足で操作するタイプのものがあり、これは「足踏み式サイドブレーキ」や「足踏み式パーキングブレーキ」と呼ばれ、フットブレーキの一種として扱われますが、混同を避けるために区別されています。

フットブレーキの種類

フットブレーキは、踏力を制動力に変換する方式によって、大きく以下の3つに分類されます。

1. 油圧式

小型自動車や中型自動車、オートバイのリアディスクブレーキなどに広く採用されています。
ブレーキペダルを踏むと、マスターバックと呼ばれる装置で増幅された力がマスターシリンダーに伝わり、油圧が発生します。
この油圧が、各車輪のブレーキシリンダーに伝わり、ブレーキを作動させます。
ペダルは、自動車ではペンダント（吊り下げ）式、オートバイの後輪用ではカンチレバー式が一般的です。
ブレーキを連続して使用すると、ブレーキフルードが加熱され、気泡が発生するベーパーロック現象が発生し、ブレーキが効かなくなる危険性があります。

2. 空気油圧複合式（エアオーバーハイドロリック）

主に大型自動車や一部の中型自動車に採用されています。
空気圧を利用して、油圧式ブレーキのマスターシリンダーを作動させる方式です。
ペダル操作は圧縮空気の制御のみを行い、踏み込むと空気がマスターシリンダーのピストンを押し、ブレーキがかかります。
油圧式に比べて強力な制動力が得られますが、ペダルの踏み込み量と制動力の関係が比例しないため、慣れないと急ブレーキになりやすいという特徴があります。
オルガン（床置き）式のペダルが採用されていることが多く、滑らかな減速を可能にしています。
エアブレーキは使用するたびにエアタンクの空気が抜けるため、コンプレッサーでエアタンク内の空気圧を保つ必要があります。
ホイールシリンダーは油圧のため、ブレーキを踏み続けるとベーパーロック現象を起こす可能性があります。

3. 空気圧式（フルエア）

大型トレーラーやトラクタに多く採用されています。
圧縮空気のみでブレーキを作動させる方式です。
ブレーキシューは通常スプリングでドラムに押し付けられており、圧縮空気で作動するアクチュエータでブレーキが解除される仕組みです。
配管の破断やトレーラーの分離時には、自動的にブレーキが作動する安全機構が備わっています。
空気油圧複合式よりも制動力は強力で安定していますが、操作のタイムラグが大きいです。
エアブレーキも、使用するたびにエアタンクの空気が抜けるため、コンプレッサーでエアタンク内の空気圧を保つ必要があります。
ベーパーロック現象は発生しませんが、加熱によるフェード現象は発生します。また、極寒冷地では、空気中の水分が凍結して動作不良を起こすことがあります。

4. 機械式

オートバイの後輪ドラムブレーキに採用されることがあります。
ロッドやワイヤーなどの機械的な機構でブレーキを作動させる方式です。
ベーパーロック現象は発生しませんが、フェード現象は発生します。
四輪車においては、ハンドブレーキから進化してフットブレーキが登場しましたが、現在では機械式フットブレーキはほとんど使用されていません。

その他の情報

自動車の教習車やロードローラーには、教官席にもブレーキペダルが備わっている場合があります。
農業機械などでは、左右の車輪を個別に制動できるフットブレーキが採用されている場合があります。
オートバイのブレーキペダルは、後輪ブレーキのみを操作します。
ブレーキシステムの異常は、重大な事故につながる可能性があるため、定期的な点検が不可欠です。

関連項目

ブレーキ
空気ブレーキ
真空ブレーキ
パーキングブレーキ
ベーパーロック現象
運転免許
ブレーキ (自転車)

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