フナガタガイ科

フナガタガイ科（船形貝科）

フナガタガイ科は、異歯亜綱に属するマルスダレガイ目の二枚貝の一群で、形状は前後に長く、長方形に近い特徴を持ちます。特に、水管は短く、鉸歯は主歯が2つ、さらにその前後に側歯を持つのが特徴です。1830年に記載された模式属である「Trapezium」という名称は、「台形」を意味しています。

この科に属する貝は、主に房総半島以南のインド-西太平洋地域の岩礁に生息しています。日本には、この科から7種の貝が確認されており、主に次のような属と種が代表的です。

所属する主な属と種

1. Coralliophaga (Blainville, 1824)
例: タガソデガイ
- この属の貝はサンゴに孔を開けて住む特徴があります。
- 足糸は使用しませんが、地中海やカリブ海にも生息しています。

2. Fluviolanatus (Iredale, 1924)
- 主にオーストラリアに分布する貝です。

3. Glossocardia (Stoliczka, 1870)
例: ツキヨミガイ属
- 海底洞窟に生息する特徴があります。

4. Neotrapezium (Habe, 1951)
- ウネナシトマヤガイは、美味しい食材として知られています。

5. Trapezium (Megerle von Mühlfeld, 1811)
例: フナガタガイ属
- 岩礁に生息し、足糸で付着する習性を持っています。

分化の背景

フナガタガイ科は、小さなグループであり、日本には7種の種が特定されています。科内の種は、主に5つの属に分類されており、それぞれ異なる生態や特徴を持っています。この科は、外見が似ているトマヤガイ科とは遠縁であり、マルスダレガイ目の中でも特に鉸歯や水管の発達が少ないのが特徴です。

また、フナガタガイ科の分化は、白亜紀以降の水温や淡水化など環境の変化に応じて進行しました。これにより、様々な形態や生態に特化した種が生まれてきたと考えられます。

参考文献

この情報は、以下の参考文献に基づいています。

• - 波部忠重・小菅貞男『標準原色図鑑全集3 貝』保育社、1967年。
• - R.T.アボット、S.P.ダンス監修『世界海産貝類大図鑑』平凡社、1985年。
• - 松隈明彦ら『世界文化生物大図鑑貝類』世界文化社、2004年。

関連項目

• - アイスランドガイ
• - トマヤガイ科

このように、フナガタガイ科は多様性に富んだ貝類であり、特に日本における生息状況は研究の対象となっています。これからも、その生態や進化についての理解がさらに深まることが期待されます。

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