フュッセン条約

フュッセン条約（1745年）

フュッセン条約は、1745年4月22日にバイエルンのフュッセンで締結された、オーストリア継承戦争におけるバイエルンとオーストリア間の講和条約です。

背景

オーストリア継承戦争の初期、バイエルンはフランスの支援を受け、オーストリアに対して優位に立っていました。バイエルン選帝侯カール7世は、ヴィッテルスバッハ家の悲願であった神聖ローマ皇帝の地位に就きましたが、オーストリアの反撃によりバイエルンは侵攻を受け、首都ミュンヘンを巡る争奪戦が繰り返されました。カール7世は諸侯の宮廷を転々とするうちに健康を害し、1745年1月に亡くなりました。

後を継いだマクシミリアン3世ヨーゼフは、直ちにオーストリアとの和平交渉を開始しましたが、同盟国であるフランスの干渉により、交渉は難航しました。しかし、オーストリア軍の攻勢によりミュンヘンを含むバイエルンの大半が占領され、1745年4月15日のプファッフェンホーフェンの戦いで同盟軍がオーストリアに敗北したことで、バイエルンは単独講和を決断しました。

条約の内容

オーストリアは当時、シュレージエンを巡ってプロイセンと戦っており、バイエルンの領土獲得を断念しました。その代わりに、バイエルンはオーストリアに対する全ての継承権を放棄し、マリア・テレジアの相続を承認すること、そして次期皇帝選挙において彼女の夫であるフランツ・シュテファンに投票することを約束しました。さらに、マクシミリアン3世ヨーゼフは、叔父であるケルン大司教クレメンス・アウグストと、同族のプファルツ選帝侯カール・テオドールに対し、フランツへの投票を働きかけることを了承しました。

条約の影響

フュッセン条約は、オーストリア継承戦争における重要な転換点となりました。バイエルンが戦争から離脱したことで、オーストリアはプロイセンとの戦いに集中することができ、また、マリア・テレジアの皇帝位継承が確実なものとなりました。この条約は、その後の神聖ローマ帝国の政治情勢に大きな影響を与えたといえるでしょう。

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