プファッフェンホーフェンの戦い

プファッフェンホーフェンの戦い (1745年)

プファッフェンホーフェンの戦いは、オーストリア継承戦争中の1745年4月15日に、バイエルンのプファッフェンホーフェン近郊で発生しました。この戦いは、オーストリア軍とフランス・プファルツ連合軍との間で繰り広げられ、オーストリア軍の勝利に終わりました。

背景

1744年冬、第二次シュレージエン戦争が勃発し、オーストリア軍が東部戦線に兵力を割いた隙に、バイエルンは一時的に自領を回復しました。しかし、プロイセンがオーストリアに敗北すると、再びオーストリア軍の侵攻にさらされることになりました。そのような状況下で、バイエルン選帝侯カール7世が1745年1月20日に急逝し、わずか17歳のマクシミリアン・ヨーゼフが後を継ぎました。若年の君主の即位は、バイエルンの苦境をさらに悪化させ、和平か徹底抗戦かで重臣たちの意見が分かれ、国論は二分されました。

マリア・テレジアは、バイエルンを早期に屈服させるため、冬の間から圧力を強め、ミュンヘンへの進軍を命じました。当時のバイエルンには、フランス軍の援軍とフランクフルト同盟から派遣されたプファルツとヘッセン＝カッセルの部隊がわずかに存在するのみで、戦力差は歴然としていました。

戦闘の経過

1745年3月、オーストリア軍は連合軍に対して攻撃を開始しました。バイエルン軍主力は東から進撃するブラウン軍と対峙する中、バティヤニー率いるオーストリア軍は北から迂回し、連合軍を分断することに成功しました。4月15日、バティヤニー軍はプファッフェンホーフェンに到達し、セギュール率いるフランス・プファルツ連合軍に攻撃を仕掛けました。

セギュール軍は、プファッフェンホーフェンの西側の丘に陣を構え、大砲による砲撃で抵抗を試みましたが、オーストリア軍の軽歩兵部隊であるパンドゥールが市街に侵入し、攻撃を開始しました。包囲を恐れたセギュールは撤退を決意し、パール川への撤退を開始しましたが、オーストリア軍の追撃を受け、混乱に拍車がかかりました。プファルツ部隊はフランスから資金援助を受けていましたが、兵士の士気は低く、セギュールの撤退命令を敗走と捉え、パニックに陥り、逃亡者が続出しました。そこにオーストリア軍の騎兵部隊であるフザールが追撃を加え、連合軍は壊滅的な打撃を受けました。セギュールは辛うじてホーエンヴァルトまで撤退し、パール川を渡りましたが、多数の兵士と物資を失いました。追撃を避けるため、セギュール軍はさらにレヒ川を目指して撤退を続けました。

戦闘の結果と影響

プファッフェンホーフェンの戦いでの敗北により、ミュンヘンの北側の守りを失ったマクシミリアン・ヨーゼフはアウクスブルクへ逃れ、バティヤニー軍はミュンヘンを占領しました。この戦いとミュンヘン占領は、バイエルンの継承戦争からの脱落を決定づけることになりました。マクシミリアン・ヨーゼフはオーストリアへの抵抗を断念し、フュッセン条約を締結し、バイエルンはオーストリア継承戦争から離脱しました。

参考文献

林健太郎、堀米雇三 編『世界の戦史6 ルイ十四世とフリードリヒ大王』（人物往来社、1966年）
Reed Browning『The War of the Austrian Succession』（New York: St Martin's Press、1993年）
* David Chandler『The Art of Warfare in the Age of Marlborough』（UK: SPELLMOUNT、1990年）

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