フューチャー・ベース

フューチャー・ベース (Future Bass)

フューチャー・ベースは、2010年代に登場したエレクトロニック・ダンス・ミュージックのジャンルの一つです。このスタイルは、ダブステップやトラップの要素を取り入れつつも、明るく温かみのあるサウンドが特徴で、聴く人を引き込むような魅力があります。特に、厳つくてゴロゴロした低音ではなく、ハーシュでデチューンされたシンセサイザーを用いたベースラインが印象的です。

歴史的背景

フューチャー・ベースの先駆者としては、グラスゴーを拠点に活動するRustieやHudson Mohawke、Cashmere Catなどが挙げられます。彼らによってこのジャンルの個性が形作られ、独自の音楽スタイルが広がりました。このスタイルは2010年代中期から後期にかけて、Illenium、San Holo、Louis the Child、Mura Masaといった新しいアーティストたちの登場によってさらに人気を博しました。特に2016年は、フューチャー・ベースが広く認知される重要な年となりました。

特徴

フューチャー・ベースの楽曲には、独特の「フラフラ」とした(wobbly)エフェクトが施されています。このエフェクトは、オートメーションやLFO（低周波数振動）を使用してフィルターのカットオフ周波数や波形の振幅を操作することで生み出されます。また、アルペジオやボーカル・チョップといった要素を加えることで、曲全体にさらなる深みや面白さをもたらしています。ドロップ前のビルドアップでは、華やかな響きを持つライザーが使用され、リスナーの期待感を高める役割を果たしています。

サブジャンル

このジャンルにはいくつかのサブジャンルも存在します。例えば、カワイイ・フューチャー・ベース（kawaii future bass）は、特に日本のポップカルチャーの影響を受けたスタイルで、キュートでハッピーな音色が特徴です。チップチューンサウンドやアニメ、ビデオゲームのサンプリングが頻繁に使用されるため、独特の楽しさがあります。このジャンルの先駆者としてSnail's Houseが知られており、2015年にはアルバム『Kirara EP』をリリースしました。

もう一つの注目すべきサブジャンルは、J-フューチャー・コア（J-future core）です。これは、フューチャー・ベースとハードコアテクノの要素を融合させたもので、日本独自の音楽として進化してきました。シンセはフューチャー・ベースの音を使用しつつも、ハードコア特有のキレのある音色を取り入れています。このスタイルは2017年前半にSoundCloudでリリースされたコンピレーションアルバム「FÜGENE」に由来しています。「MEGAREX」もこのアルバムのリリースにより新たなジャンルとして認識されるようになりました。

主要アーティスト

フューチャー・ベースのシーンには、多くの才能あふれるアーティストが存在します。Rustie、Cashmere Cat、The Chainsmokers、Flume、Illenium、Lido、Louis the Child、Marshmello、Mura Masa、San Holo、TheFatRatなどがその代表的な存在であり、彼らの作品は多くのファンに親しまれています。今後もこのジャンルはさらなる進化を遂げ、多くの人々に愛され続けることでしょう。

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