フライト・ディレクター

フライト・ディレクター（Flight Director: FD）

フライト・ディレクターは、航空機が設定された飛行経路に沿って飛行するために必要な機体の姿勢を、視覚的に指示する飛行計器です。具体的には、適切なピッチ角（機首の上げ下げ）とバンク角（機体の傾き）を計算し、姿勢指示器に重ねて表示します。

フライト・ディレクターの動作

フライト・ディレクターは、選択された飛行経路に基づいて、機体が取るべき最適な姿勢を表示します。例えば、以下のような状況を考えてみましょう。

現在、航空機がヘディング45度、高度FL150（15,000フィート）、対気速度260ノットで飛行しており、フライト・ディレクターのロール・バーとピッチ・バーがそれぞれ中央に位置しているとします。ここで、ヘディングを90度、高度をFL200（20,000フィート）に変更する指示が出たとします。この場合、航空機は右旋回し、同時に上昇する必要があります。

すると、フライト・ディレクターのロール・バーは右側に、ピッチ・バーは上側に移動します。これは、パイロットに対して「右に旋回し、機首を上げてください」という指示になります。パイロットは、この表示に従って操縦桿を右に倒し、同時に引き上げる操作を行います。

航空機が適切なバンク角に達すると、ロール・バーは中央に戻ります。この状態を維持し、ヘディングが90度に達するまで旋回を続けます。ヘディングが90度に達したら、ロールを戻して翼を水平にします。

次に、航空機が高度FL200に達すると、フライト・ディレクターのピッチ・バーが下側に移動します。これは、水平飛行に移行するために「機首を下げてください」という指示です。パイロットは、この指示に従って機首を下げ、高度を維持します。

オートパイロットとの連携

フライト・ディレクターは、一般的にオートパイロットと連携して使用されます。この場合、フライト・ディレクターが計算した適切な姿勢になるように、オートパイロットに指示を出します。この連携は、特に自動着陸のための進入（対地高度200フィート以下）や、ILS（計器着陸システム）カテゴリーIIおよびカテゴリーIIIによる計器進入において重要な役割を果たします。

表示器の種類

フライト・ディレクターの表示器の形状は、使用される計器の種類に応じて様々なものが存在します。従来の計器式ディスプレイから、最新のグラスコックピットまで、多様な表示方法が用いられています。

関連事項

Acronyms and abbreviations in avionics
HUD
Attitude indicator
Flight instruments

もう一度検索