姿勢指示器

姿勢指示器の概要

姿勢指示器（英: attitude indicator）は、航空機にとって必須の航空計器です。この計器は、人工水準器や人工水平儀、姿勢儀としても知られています。略称としてAI、またはADI（attitude director indicator）が用いられることもあります。

基本機能と役割

姿勢指示器は、航空機の姿勢を地平線と比較し、その角度によってピッチ（上下の傾き）やロール（左右の傾き）を表示します。特に視界の悪い条件、例えば暗い夜間や霧、雪などで地面が見えない場合においても、パイロットが航空機の姿勢を確認できるため、非常に役立つ存在です。

この計器は、青色または水色の空と、茶色または黒色の地面や水面を分けた球状の背景を持つことが一般的です。その前面には航空機のシンボルマークが表示され、これによって自機の姿勢を視覚的に把握できます。西側諸国の航空機では、シンボルマークが固定されており、背景の球が回転して自機の姿勢を示しますが、東側諸国で製造された航空機ではその逆で、背景が固定され、シンボルマークが回転します。この違いは、過去に発生した墜落事故（例：クロスエア498便、アエロフロート821便）にも関連しています。

飛行基本と姿勢指示器の動作

固定[[翼機]]が揚力を得るためには、翼に適度な迎角が必要です。このため、飛行中はピッチ調整が行われます。水平飛行中でも、揚力を確保するために機首は若干上向き姿勢が求められます。そのため、姿勢指示器は必ずしも水平を意味しない点に注意が必要です。水平飛行の状態を示すには、別途昇降率計が用いられます。

昔の姿勢指示器

以前は、ジャイロスコープを用いた機械式姿勢指示器が一般的でした。大型機のボーイング747クラシックなどでは、慣性航法装置からの信号をアナログ的に解釈し、姿勢を表示していました。しかし、グラスコックピットの登場により、現在の航空機では、プライマリ・フライト・ディスプレイ（PFD）に統合し、速度計や高度計と一緒に表示することができるようになりました。さらに、旧来の姿勢指示器のサイズで液晶表示が可能な交換用機器も販売されています。

予備計器の重要性

現代の航空機は多くがデジタル化されているため、姿勢指示器もデジタル表示が主流です。ただし、緊急時に備え、電源が切れるなどの事態においては、旧式のジャイロスコープタイプの姿勢指示器が予備として設置されていることが多いです。また、同様に高度計や速度計も旧式のものが予備扱いで取り付けられる場合があります。最近では、ボーイング777以降の機種では、非常用電源を活用したデジタル計器が予備として設置されることが増えています。小型機においては、エアージャイロ式のものも存在し、電源が無くとも作動するため、予備の姿勢指示器が付けられていることは少ないです。

まとめ

姿勢指示器は航空機の安全な飛行を支えることができる重要な計器です。各国の技術や設計理念によって異なる方式が採用されているため、その理解は航空機運航において欠かせません。また、予備計器の重要性を認識することで、より安全な航空機運航が可能となるでしょう。

もう一度検索