フラクショナル・オーナーシップ

フラクショナル・オーナーシップとは

フラクショナル・オーナーシップは、高額な資産の所有権を複数人で共有し、それぞれの利用頻度やニーズに応じて分割して利用するシステムです。この仕組みは、船舶（タンカー、貨物船など）、航空機（ビジネスジェット、ヘリコプターなど）、リゾートマンションなど、高額な物件や資産を中心に適用されています。特に、個人では購入や維持が難しい資産を、より多くの人が利用可能にするための有効な手段として注目されています。

メリット

フラクショナル・オーナーシップの最大のメリットは、初期費用や維持費を大幅に削減できる点です。例えば、船舶や航空機は購入費用だけでなく、保険料、係留・駐機費用、メンテナンス費用など、多くのコストがかかります。これらの費用を複数人で分担することで、一人当たりの負担を大幅に軽減できます。従来、高額な資産は一部の富裕層しか所有できませんでしたが、フラクショナル・オーナーシップの導入により、より多くの人々がその恩恵を受けられるようになりました。

さらに、利用者は必要な時に必要な時間だけ資産を利用できるため、無駄なコストを削減できます。例えば、航空機の場合、数時間単位での利用が可能になり、リースよりも柔軟な利用が実現します。

航空機におけるフラクショナル・オーナーシップ

航空機、特にビジネスジェットは、機体価格が高額であるだけでなく、空港使用料や点検費用なども高額です。そのため、個人パイロットの多くは航空クラブで機体を共同購入していました。ビジネスジェットの場合は、操縦士の手配も必要となるため、さらに所有は困難でした。しかし、1984年にエグゼクティブ・ジェット・アビエーション（現ネットジェッツ）社がフラクショナル・オーナーシップを導入したことで、状況は大きく変わりました。

このシステムは、単独では購入できなかった層にも航空機の利用を可能にし、市場を大幅に拡大させました。その後、複数の機種を保有する会社が、時間貸しサービスを開始するなど、さらに利用が広がっています。現在では、個人がより手軽にビジネスジェットを利用できる環境が整いつつあります。

船舶におけるフラクショナル・オーナーシップ

個人向けの船舶は、高額なだけでなく、販売店が船と停泊権をセットで販売することが多く、利用の柔軟性に欠けるという課題がありました。しかし、ヤマハ発動機などのメーカーが自社船のシェアリングサービスを開始するなど、利用促進の動きが広がっています。これにより、より多くの人々が船舶を気軽に利用できるようになることが期待されています。

まとめ

フラクショナル・オーナーシップは、高額な資産の利用をより多くの人々にとって身近なものにする画期的なシステムです。このシステムにより、個人は購入や維持の負担を軽減しつつ、必要な時に必要な時間だけ資産を活用できるようになりました。今後、この仕組みは、さらに様々な分野へと広がっていくことが予想されます。

関連情報

航空機リース
用船契約
共有
共同購入
カーシェアリング

外部リンク

「ビジネスジェット利用促進調査」の概要 - 国土交通省航空局監理部総務課
日本に於けるビジネス航空の現状と将来 p26 - 日本ビジネス航空協会
FBO やフラクショナル・オーナーシップについて - 一般社団法人中部航空宇宙産業技術センター

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