フラム号

フラム号の概要

フラム号（Fram）は、ノルウェーで建造された歴史的な探検船です。この船は、重量402トン、高さ39メートルの木造スクーナーであり、特に耐氷設計として知られる丸底を持っています。フラム号は、北極海の探検において中心的な役割を果たし、その成果は海流研究に大きな影響を与えました。特に、フリチョフ・ナンセンが指揮したフラム号遠征は有名です。

ナンセンの探検

ナンセンは、北極海の海流に関心を寄せており、シベリアからグリーンランドへの海流の存在を示す証拠を見つけました。彼は、松の流木がグリーンランド東岸に漂着するのを観察したり、氷によって破壊されたアメリカの探査船ジャネット号の遺物が3年後にグリーンランド南東岸に漂着するのを目の当たりにしたことから、海流の流れを推測しました。この推論を実証するために、氷に閉じ込められても耐えうる丸底船のフラム号を建造しました。

フラム号は、1893年6月にノルウェーを出航し、同年9月25日にはシベリア北岸沖で氷に閉じ込められました。船は漂流を続け、1896年8月12日にグリーンランド海でダイナマイトを用いて氷を破り脱出しました。この間、ナンセンは北極点への到達を試みましたが、成功には至りませんでした。探検の成果は、ナンセンによって6巻の報告書にまとめられ、特に死水現象や海流の偏向についての重要な発見がありました。

探検の成果と歴史

フラム号の探検がもたらした海流の理解は、後の研究に多大な影響を与えました。1898年から1902年には、オットー・スヴェルドルップによるカナダ北部の北極海探検に、さらに1910年から1912年にかけてロアール・アムンセンの南極探検にも利用されました。

現在のフラム号

現在、フラム号はノルウェーの誇りであり、オスロ市のビグドイ半島にあるフラム号博物館で保存されています。この博物館では、訪問者は船の甲板や内部を見学することができ、歴史的な価値を体験することができます。

フラム号に由来する名称

この船にちなんで名付けられたものも存在します。アムンセンは南極探検の際に、クジラ湾に設営した基地を「フラムヘイム（Framheim）」と名付けました。また、フラム海峡は北極海とグリーンランド海を結ぶノルウェーの海峡です。さらに、火星に存在するクレーターも「フラム」と名付けられています。これは2004年に火星探査機オポチュニティによって発見されたものです。加えて、日本のアートディレクター北川フラムは、父親がフラム号にちなんで名付けたと言われています。

参照リンク

• - フラム博物館（英語）

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