スクーナー

スクーナーについて

スクーナー（英: schooner）は、2本以上のマストを持ち、主に縦帆を装備した帆船の一種です。この船は、16世紀から17世紀にかけてオランダで最初に使用され、その後アメリカ独立戦争の時期に北米でも進化を遂げました。日本では幕末に「君沢形」として認識されています。

名前の起源

スクーナーという名前の由来について、ブリタニカ百科事典第11版によると、1713年に建造された船が初めて「スクーナー」と呼ばれたと言われています。この船はアンドリュー・ロビンソンによってグロスターで進水され、人々が「Oh how she scoons」と叫んだことが名前の発端とされています。この時、ロビンソンは「A schooner let her be」と返答したとされています。しかし、アメリカの帆船研究者チャベルは、スクーナーの絵が交易や船の使用歴から見て、ロビンソンがその発明者である可能性は低いとしています。

日本でのスクーナー

1855年、ロシアのエフィム・プチャーチンが日本に来航した際、喪失した「ディアナ号」の代替として「ヘダ号」が建造されました。この船は日本人船大工が加わり、幕府によって造船されました。その後、日本では「君沢形」と呼ばれるスクーナーが伊豆の戸田村で建造されました。この名は建造地からとって付けられました。

構造と帆装

スクーナーは通常、2本以上のマストを持ち、最も後ろにあるマストが最も高いか、またはすべてのマストが同じ高さになります。いくつかの種類があり、最前のマストが高いものは「ケッチ」と呼ばれ、スクーナーとは区別されます。伝統的な形では、最前のマストにはガフセイルが設けられ、時にはその上に横帆のフォアコースセイルが張られることもあります。フォアマストのみに横帆があるものは「トップスルスクーナー」、両方のマストに横帆があるものは「ツートップスルスクーナー」と呼ばれます。

近代のスクーナーには、バミューダ帆装を持つタイプも存在します。バミューダ諸島では、17世紀初頭にこのような帆装を施したスループが登場し、その後も使用が広がりました。

スクーナーの普及と用途

アメリカ合衆国や北ヨーロッパで特に人気を博したスクーナーは、特に2本マストのものが一般的です。少人数での操縦が可能であり、逆風時の効率的な移動が求められる場面や、漁業、商業航行での使用が広く見られました。また、マサチューセッツ州のエセックスでは多くのスクーナーが建造され、1850年代まで年間50隻以上のペースで製造されていました。

有名なスクーナー

1800年代には、北アメリカ大陸でおおよそ2000隻以上のスクーナーが運航しており、特に「ターン」はカナダの沿岸地域で人気がありました。スクーナーは、その柔軟な設計と操縦性から、遠洋航海から内陸の水域まで、様々な環境で使用されています。スクーナーの特性と機能は、今なお航海者に愛され続けているため、その多様性と歴史的な重要性を物語っています。

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