フランク・グラント

フランク・グラント：不屈の精神で道を切り開いたアフリカ系アメリカ人野球選手

フランク・グラント（Ulysses Franklin (Frank) Grant, 1865年8月1日 - 1937年5月27日）は、1880年代から1890年代にかけて、アメリカのマイナーリーグおよびニグロリーグで活躍したアフリカ系アメリカ人野球選手です。主に二塁手を務め、その卓越した才能で多くのファンを魅了しました。マサチューセッツ州ピッツフィールドで生まれたグラントは、右投げ右打ちの選手でした。

身長約170cm、体重約70kgと小柄ながら、広い守備範囲と強肩、そして強烈なラインドライブを打つ打撃力を兼ね備えていました。1886年にインターナショナルリーグのバッファロー・バイソンズに入団すると、その才能はすぐに開花しました。毎年のように打率、盗塁、塁打数でリーグトップの記録をマークし、1887年にはリーグ最多となる11本塁打、49本の長打、40盗塁を記録するなど、圧倒的な成績を残しました。

当時のインターナショナルリーグでは、アフリカ系アメリカ人選手に対する排斥の動きが強まっていました。その中で、グラントは3年連続で同じチームに在籍し、バッファローの中心選手として活躍しました。彼の活躍ぶりは、当時の名選手フレッド・ダンラップになぞらえられ、「黒いダンラップ」という異名で呼ばれるほどでした。

しかし、1888年になると、選手排斥の動きはさらに激化し、バッファローもグラントの引き留めに苦慮します。この年、グラントは打率.346（資料によっては.311）、11本塁打と好成績を収めましたが、二塁手というポジションから、対戦相手からの執拗なスパイクによる攻撃を受けるようになりました。グラントは、ユニフォームのソックスの下に木製のすね当てを着用して試合に出場せざるを得ない状況でした。その年のシーズン終盤には外野手として出場し、最終的にバッファローを離れることとなりました。

その後、グラントはキューバン・X・ジャイアンツやフィラデルフィア・ジャイアンツといった著名な独立系チームに所属し、1903年まで野球選手として活躍しました。これらのチームでの活躍も推察されますが、1890年代以降の打撃記録はほとんど残っていません。1937年にニューヨークで71歳で亡くなりました。2006年には、ニグロリーグ特別委員会によってアメリカ野球殿堂入りを果たしました。

グラントの記録と業績

グラントは、その卓越した才能で多くの記録を打ち立てました。1887年には、1試合でサイクル安打と本塁盗塁を2度決めるという驚異的な記録も残っています。

年次別の打率：1886年（.326）、1887年（.340）、1888年（.346）、1890年（.328）
1887年：1試合でサイクル安打と本塁盗塁を2度達成

結論

フランク・グラントは、人種差別の壁に立ち向かいながらも、その才能と不屈の精神で道を切り開いた偉大な野球選手です。彼の功績は、野球史に永遠に刻まれるでしょう。

参考資料

Baseballhalloffame.org (英語) – アメリカ野球殿堂（National Baseball Hall of Fame）による紹介
Negro League Baseball eMuseum
NLBPA.com
Baseball Library

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