フランク・ショーター

フランク・ショーター (Frank Shorter)

フランク・ショーターは、1947年10月31日にドイツのミュンヘンで生まれたアメリカのマラソン選手です。彼は1972年のミュンヘンオリンピックで、アメリカに64年ぶりとなるマラソン金メダルをもたらしたことで知られています。この業績は、アメリカのマラソン界において重要な意味を持っており、彼はその後も数多くのレースで輝かしい成績を収めました。

来歴

ショーターは父親が従軍していた時期にドイツで生まれ、帰国後はニューヨーク州で育ちました。大家族の一員として成長し、マサチューセッツ州の高校からイェール大学へ進学。大学在学中の1968年には、メキシコシティオリンピックのマラソンアメリカ予選に参加しましたが、途中棄権となってしまいました。しかし、その後トラック競技に専念し、1969年には全米大学体育協会競技会で10000mのタイトルを獲得しています。

卒業後はフロリダ大学の法科大学院で法律を学ぶ中、フロリダ・トラッククラブに所属し、5000mと10000mの全米チャンピオンとなるなど、陸上競技での活躍を続けました。本格的にマラソンに取り組み始めたのは1971年からで、同年の全米選手権で2位、パンアメリカン選手権で優勝を飾りました。その記録は当時平凡でしたが、同年12月の国際マラソン（後の福岡国際マラソン）で、前年の優勝者を押しのけて2時間12分50秒4という好タイムで優勝を果たし、名を馳せることになりました。

以後、1972年のミュンヘンオリンピックをはじめ、多くの主要マラソンで勝利を重ね、福岡国際マラソンでは4連覇を達成しました。ミュンヘンオリンピックでは10000mでも5位入賞を果たし、彼のスピードがマラソン界に新しい風をもたらしたとされています。

主な成績とエピソード

1976年のモントリオールオリンピックでは金メダルが期待されていましたが、東ドイツの選手に敗れて銀メダルに終わります。また、彼は現役時代に「サブテン」と呼ばれる2時間10分未満のタイムを記録することはできませんでしたが、1972年の国際マラソンでは腹痛に見舞われながらも自己ベストを出し、9分台への期待を残しました。

ショーターは独特のスタイルでも知られ、当初は口ひげと長い髪で目を引きましたが、1973年にはひげを剃り落としました。引退後はマラソン指導書を執筆し、1977年には自らのブランド「フランク・ショーター・ランニングギア」を設立。アスリートとしてだけでなく、ビジネスパーソンとしても成功を収めています。

意外なエピソード

1973年の毎日マラソンで、ショーターは途中で腹痛に襲われ、沿道で用を足すという一幕がありました。しかし、彼はその後20秒でコースに復帰し、大会新記録で優勝するという驚くべき結果を残しました。また、パンアメリカン選手権でもレース中にトイレを利用する事例があったほど、レース中のさまざまな障害を克服してきたランナーとしても語られています。

ショーターは、ミュンヘンオリンピックで金メダルを獲得した際、地元で生まれたという背景も相まって象徴的な存在となっています。現在でも、彼のランニングに関する著作や指導は多くのランナーに影響を与え続けています。

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