フランク・メンツァー

フランク・メンツァー：ダンジョンズ&ドラゴンズの立役者、その波瀾万丈な人生

ジェイコブ・フランクリン・「フランク」・メンツァー3世は、アメリカのファンタジー作家、ゲームデザイナーです。彼は、ダンジョンズ&ドラゴンズ（D&D）の初期作品群における業績で最もよく知られています。しかし、彼のキャリアはそれだけに留まらず、フォークミュージシャン、TSR社の幹部、そしてパン屋の経営者と、多岐にわたっています。

若年期：音楽への情熱

メンツァーはフィラデルフィア郊外で生まれ育ち、高校時代からフォークミュージックに情熱を注ぎました。16歳で初めての有給演奏を経験し、その後も国立公園局（NPS）でのコンサートなど、音楽活動を続けました。1972年には、ホワイトハウスの庭で行われたコンサートで演奏し、その模様が全国ニュースで放送されるという貴重な経験もしています。

TSR時代：D&Dの発展に貢献

1970年代後半、メンツァーはD&Dと出会い、その魅力に取り憑かれます。1980年、彼はTSR社に入社し、D&Dのデザイナー兼編集者として活躍しました。彼は、ロールプレイングゲーム・アソシエーション（RPGA）を設立し、質の高いロールプレイングを奨励する活動を行いました。また、Gen Conゲームフェアにおける世界最大のゲームオークションにも深く関わるようになりました。

メンツァーは、アドバンスト・ダンジョンズ&ドラゴンズ（AD&D）とは異なる、D&Dのベーシック・ルールを開発する責任者となりました。彼が手がけたベーシック、エキスパート、コンパニオン、マスター、イモータルのボックス・セット（BECMIとして知られる）は、世界中で数百万部を売り上げ、D&Dの普及に大きく貢献しました。

New Infinities Productions社：挫折と新たな道

1985年、ゲイリー・ガイギャックスがTSRを追放された後、メンツァーもTSRを辞職し、ガイギャックスが設立したNew Infinities Productions社（NIPI）に参加しました。しかし、NIPIはTSRとの訴訟に敗れ、崩壊。メンツァーはゲーム業界から一時的に離れることになりました。

パン屋の経営：第二の人生

ゲーム業界を離れたメンツァーは、パン屋の経営者として第二の人生を歩み始めました。彼は妻と共にウィスコンシン州でパン屋を開業し、事業を拡大していきました。しかし、パン屋の経営は多忙を極め、2008年に閉店。その後、イリノイ州に移住しました。

ゲーム業界への復帰

2010年、メンツァーはEldritch Enterprisesの創立共同経営者として、ゲーム業界に復帰しました。彼は再び、ロールプレイングゲームの制作や出版に携わるようになり、ファンを喜ばせています。

フランク・メンツァーの人生は、音楽、ゲーム、そしてビジネスと、様々な分野で才能を発揮した波瀾万丈なものでした。彼のD&Dへの貢献は計り知れず、彼の創り出した世界は、今も多くの人々を魅了し続けています。

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