フランシスコ・エレーラ (父)

フランシスコ・エレーラ（Francisco de Herrera el Viejo）

フランシスコ・エレーラ（1576年 - 1656年）は、スペインの画家であり、主にセビリアを拠点に活動していました。彼は教会や修道院の装飾画を手がけ、そのスタイルは当時の美術界に多大な影響を与えました。「el Viejo（老いた者）」という名称は、彼の息子で同じ名前の画家、フランシスコ・エレーラ（子）と区別するために付けられています。

略歴

エレーラは、ミニアチュール画家の子としてセビリアに生まれました。兄には画家であるフアン・エレーラがいます。彼は、イタリアのマニエリスムの影響を受けた画家、フランシスコ・パチェーコの弟子であると考えられていますが、すぐにパチェーコのスタイルから離れ、独自のスタイルを確立していきました。1617年には、ウエルバの大聖堂において仕事を依頼され、彼の評判は次第に高まっていきました。

この時期のセビリアは、マドリードよりも人口が多く、スペインの美術の中心地として知られていました。多くの工房が存在し、教会や修道院の祭壇画が多く制作されていました。エレーラの工房も、その重要な一つであり、作品はアルゼンチンやメキシコ、ペルーなどにも送られていました。1620年代には、フランシスコ・デ・スルバランと協力し、トレドの神学校での仕事も行いました。

しかし、1650年にセビリアでのペストの大流行に直面し、エレーラはマドリードに移住しました。そして、1656年にはマドリードで没しました。

エレーラのキャリアの初期には、有名な画家ディエゴ・ベラスケスの最初の教師となったと伝えられていますが、彼の厳しい性格に耐えられず、数か月後にベラスケスはフランシスコ・パチェーコのもとに転師したと言われています。

主な作品

エレーラの作品には、主に教会や修道院の装飾画が多く、彼のスタイルはしばしば力強い構図と大胆な色使いを特徴としています。彼は、宗教的なテーマや聖人の姿を描いた作品が多数残されています。これらの作品は、彼の技術と独自の視点を反映しており、見る者に深い印象を与えます。彼の工房で学んだ多くの弟子も、のちに独自の道を歩むこととなりました。

フランシスコ・エレーラは、スペインの美術史において重要な位置を占めており、その影響は後の世代にまで及んでいます。彼の作品は、現代の美術館でも見ることができ、多くの人々に愛され続けています。

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