フランシスコ・パチェーコ

フランシスコ・パチェーコ・デル・リオ（Francisco Pacheco del Río, 1564年 - 1644年）は、スペインの画家、美術研究家であり、異端審問所付美術監督官でもありました。彼は、美術史における重要な著作である『絵画芸術論』の著者として知られています。また、画家ディエゴ・ベラスケスの師であり、義理の父でもあります。

生涯

幼少期に孤児となったパチェーコは、叔父の養子となりました。叔父はセビリア大聖堂の聖堂参事会員であり、優れた学者でした。この叔父の知識人との交流が、パチェーコの芸術への志向を育む上で重要な役割を果たしました。

1610年12月1日、ディエゴ・ベラスケスがパチェーコの工房に入門しましたが、パチェーコは旅行中で不在でした。翌年9月22日、ベラスケスの父フアン・ロドリゲス・デ・シルバとパチェーコの間で徒弟契約が結ばれました。1617年3月14日、フアン・デ・ウセーダと共に、ベラスケスに「聖像画家」の資格試験を課し、ベラスケスはこれに合格しました。翌年の4月23日には、パチェーコの娘フアナとベラスケスが結婚しました。

1623年、オリバーレス伯から旅費を得たベラスケスは、パチェーコと弟子のパレーハと共にマドリードへ旅行しました。1625年には、ベラスケスが描いた『フェリペ四世の騎馬像』がマヨール通りで公開された際、パチェーコはソネットを書いてこれを称賛しました。

1638年には、『絵画論:その古代性と偉大』を完成させました。

作品

パチェーコの絵画作品は、主に冷たいマニエリスム様式で描かれていますが、彼の名声は絵画よりも著作によって広く知られています。

絵画

『最後の審判』Lo Judici Final
『黄金門の前で跪くヨアキムとアンナ』San Joaquín y Santa Ana arrodillados ante la Puerta：王立サン・フェルナンド美術アカデミー所蔵
『ミゲール・シッドのいる無原罪の御宿り』La Inmaculada con el retrato de Miguel Cid：1617年頃、セビーリャ大聖堂

著作

『肖像画集』Libro de descripción de verdaderos retratos de ilustres y memorables varones：ペンによる素描の肖像画56点を含む。
『絵画芸術論』El arte de la pintura：没後1649年出版。

参考文献

Enggass, Robert; Brown, Jonathan (1970), Italian and Spanish Art, 1600-1750: Sources and Documents, Englewood Cliffs, N.J.: Northwestern University Press, ISBN 9780135081013, OCLC 66105
Museo del Prado; 国立西洋美術館; 木下亮; 渡邉晋輔 (2002), プラド美術館展: スペイン王室コレクションの美と栄光, 読売新聞社, ISBN 4906536204, NCID BA56528248

外部リンク

サルヴァスタイル美術館
東京外国語大学　ディエゴ・ロドリゲス・デ・シルバ・イ・ベラスケス:絵画を技芸から芸術へと昇華させた宮廷画家
メトロポリタン美術館におけるベラスケスのコレクション
* スペイン黄金時代美術

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